笑顔のクリスチャン・ホーナー(レッドブル・レーシングチーム代表)と指を指すモハメド・ベン・スレイエム(FIA会長)、2023年11月24日(金) F1アブダビGP(ヤスマリーナ・サーキット)
Courtesy Of Red Bull Content Pool

クリスチャン・ホーナー「不適切な行為」の嫌疑が晴れレッドブルF1チーム代表続投へ、詳細は闇のままに決着

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女性従業員に対する「不適切な行為」を巡り、レッドブルGmbHによる調査の対象となっていたレッドブル・レーシングのチーム代表兼CEOを務めるクリスチャン・ホーナーが、今後も同職を継続する見通しが固まった。

調査の開始公表から23日を経て、レッドブルGmbHは2024年のF1開幕バーレーンGPの初日を翌日に控えた欧州現地2月28日(水)、調査の完了を明らかにすると共に、従業員の申し立てが正当なものであるとは認めず、これを退けたと説明した。

機密を理由に疑惑や調査に関する詳細は一切、明らかにされていないものの、一連の調査についてレッドブルGmbHは「公正、厳格かつ公平」であるとして自信を示し、その結果に基づいて従業員の申し立てを却下したと説明した。

ホーナーの処遇についての具体的な言及はないが、無罪放免とされた事で今後もこれまで通り、職務を継続するものと見られる。ホーナーは一貫して自らの潔白を主張し続けていた。

ただしレッドブルGmbHは、申立人には不服申し立ての権利があるとも指摘しており、この決定に対して従業員が法的手続きを進める可能性も視野に入れている。レッドブルGmbHの声明は以下。

「ホーナー氏への申し立てに対する独立した調査は完了した。レッドブルは苦情が却下されたことをここに明らかにする。苦情を申し立てた者には不服申し立ての権利がある。レッドブルは、調査が公正、厳格かつ公平であると確信している。調査報告書は機密であり、調査に協力した当事者および第三者の個人情報が含まれているため、関係者全員に敬意を表してこれ以上のコメントは差し控える。レッドブルは今後も最高の職場基準を満たすよう努力していく」

一件に関する詳細や証拠に関する情報はレッドブルから共有されず、また今後も公表される事はないものと見られる。

公式情報が極めて限られた事もあって疑惑を巡っては憶測が飛び交い、特にオランダの特定メディアから発せられた真偽不明の情報は注目を集めた。何が起き、何が起きなかったのか、ヘルムート・マルコやマックス・フェルスタッペンがどのような役割を果たしたのか、あるいは果たさなかったのかなど、事実を検証する術はないが、世界的な巨大企業であるレッドブルGmbHが提訴される事を視野に入れつつも「確信」を以て申し立てを退けた事は注目される。

元スパイス・ガールズのジェリ・ハリウェルの夫であり、31歳という史上最年少で2005年にF1チーム代表に就任したレッドブルの指揮官はシーズンの開幕に先立ち、女性従業員に対する不適切な行為に関する疑惑に直面した。

レーシング・チームの親会社であるオーストリアのエナジードリンク企業、レッドブルGmbHは2月5日、外部の法廷弁護士による調査を行うことを発表。レッドブルGmbHの取締役会に提出された報告書は150ページに渡るとされる。

決定の発表に先立ちホーナーは、3月2日(土)にバーレーン・インターナショナル・サーキットで行われる開幕戦に向けてイギリスからバーレーンへと飛んだ。

28日(水)に行われたドライバーズ会見の中でマックス・フェルスタッペンは、チームのボスについて「本当に重要な人物だと思う。そうでなければ、これほど長きに渡ってあのポジションにはいなかったはずだ」「当然、リーダーの一人がいなくなれば状況は変わり始める事になる。でも僕らはそうなるとは考えていない」と語った。

ホーナーは2005年にレッドブルがF1に参戦して以来、一貫して英国ミルトンキーンズのチームの指揮を取り続けてきた。チーム代表としての経歴は現行グリッドの中で最も長く、ホーナーの下、チームはこれまでに6つのコンストラクター選手権タイトルと7つのドライバー選手権タイトルを獲得している。

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