角田裕毅、ピアストリとの接触「ノーコメント」少し焦りすぎたとアルファタウリ…W入賞での大量得点叶わず
8位入賞の大きなチャンスを掴みながらも、角田裕毅(アルファタウリ)はオスカー・ピアストリ(マクラーレン)との接触を経て、10月29日(日)にエルマノス・ロドリゲス・サーキットで行われたF1メキシコGPを入賞圏外12位で終えた。
規定上限を超えるパワーユニット及びギアボックスの投入により、角田裕毅は後方18番グリッドに着き、1周目に15番手にまでポジションを上げる幸先いいスタートを切った。
8周目のターン1でケビン・マグヌッセン(ハース)に仕掛けた際、タイヤをロックアップさせコース外に飛び出した。フラットスポットを作ったのだろうか。誰よりも早い10周目にハードタイヤに交換。19番手でコースに戻った。静止時間は余りに長い10秒に及んだ。
それでも結果的にはクリーンエアーでラップを重ねる事となり、幾台ものオーバーカットに成功。71周のレースの33周目に、ケビン・マグヌッセン(ハース)のクラッシュによりセーフティーカーが導入されるとステイアウトを選択し、その後の赤旗に向けて大きなアドバンテージを作った。
新品のハードタイヤが残っていたのは角田裕毅だけだった。ライバルに対して圧倒的な優位性を持って8番グリッドからリスタートに臨んだ。前方のピアストリは中古のミディアム。残り36周の中でこれを交わして順位を守れば、チームにとっては大成功という状況だった。
レース全体を俯瞰すれば、ピアストリのタイヤが限界を迎えるであろう終盤を待つ方法もあったはずだが、角田裕毅は時にタイヤを接触させながら、ピアストリとの間で激しい7位争いを繰り広げ続けた。2.5秒後方にはアレックス・アルボン(ウィリアムズ)が控えていた。
そして残り23周のターン1でアウト側から追い抜きを試みた際に右リアがピアストリと接触。スピンを喫してフィールド後方に転落した。スチュワードは一件を調査した上で不問とした。
LAP 49/51
A ding-dong battle between Piastri and Tsunoda results in contact at Turn 1 💥
Tsunoda spins off and tumbles from P8 to P16 #F1 #MexicoGP pic.twitter.com/YktFJ1vRwl
— Formula 1 (@F1) October 29, 2023
チーフ・レースエンジニアを務めるジョナサン・エドルズは、角田裕毅が少し焦りすぎたと考えているようだ。
「彼が少しばかり、しきりにピアストリを追い抜こうとしていた事は残念だった」とエドルズは語る。
「我々は彼らよりも速かった。レース終盤までに捉える事ができたはずだが、オスカーとユーキは接触し、ユーキはスピンしてしまった」
角田裕毅が姿を消した事で、先方6番手を走行していた僚友ダニエル・リカルドはランド・ノリスの攻撃に晒される事となった。マクラーレンは56周目にピアストリとノリスの順位を交換。ノリスは60周目、与えられた役割をこなしてオーバーテイクを決めた。
それでもリカルドは復帰2戦目にして早くも、アルファタウリにとっての今季ベストリザルトとなる7位フィニッシュを果たして存在感を示した。この活躍によりチームはハースを逆転してコンストラクターズ選手権最下位から脱出した。
レース後のインタビューの中で、クルマのペースについて問われた角田裕毅は言葉少なげながらも落ち着いた素振りで「クルマは週末を通してずっと良かったです。なので残念です」と返した。
ピアストリとのインシデントについて責任の所在は何処にあると思うか? あるいはレーシングアクシデントだと考えているのか?と問われると、一言「ノーコメント」とのみ答えた。
そして、その後のプレスリリースでは「ポイントを獲得したダニエルとチームを祝福したいと思います。クルマのペースは予想通りに良かったので、ピアストリとのアクシデントは残念でした」と語った。
「ハードコンパウンドでの自分の仕事には満足しています。あれがなければ8番手を走る事はできなかったと思います。力強いスティントだったと思いますし、クルマの良さを示すものでした」
「前のクルマについていくのが難しく、その後、タイヤ的に苦しくなってきたため、できるだけ早く追い抜きたいと思っていました」
「集団最後尾に落ちてしまったアクシデントについては心から謝罪したいと思います」
「このコースは僕らのクルマによく合っていましたし、ブラジルのコースは低速コーナーが多いので、次戦でも同じようなポテンシャルとチャンスがあることを、そして残りのレースでトップ10争いができることを願っています」
2023年F1第20戦メキシコGP決勝レースでは、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)が3番グリッドからの逆転勝利を飾った。
インテルラゴス・サーキットを舞台とする次戦サンパウロGPは11月3日のフリー走行1で幕を開ける。