レッドブル勢の妨害と習熟不足、覆い隠された新型ハースVF-23の実力…2024年を見据えたF1アメリカGP大規模アップグレード
ケビン・マグヌッセンとニコ・ヒュルケンベルグによれば、ダウンウォッシュ型サイドポッドを含むアップグレードが投じられた新型ハースVF-23の実力は、パッケージの理解不足とレッドブル勢の走行妨害により覆い隠される事となった。
ハースはメルセデスと並び、サーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)に最も大規模なアップグレードを持ち込んだチームの一つだ。
マグヌッセンの言葉を借りれば、これは「ダウンフォースの増強を意図」したものではなく、2024年型VF-24の方向性を決め得る「新しいコンセント」を追求したもので、フロア、サイドポッド、エンジンカバーなど、多くのエリアに改良が施された。
F1アメリカGPの金曜一発目のプラクティスでは、マグヌッセンがジョージ・ラッセル(メルセデス)を0.002秒差で退ける5番手を記録し、ヒュルケンベルグもピエール・ガスリー(アルピーヌ)を0.003秒差で抑えて9番手をマーク。揃ってトップ10につけた。
この勢いはQ1でも変わらず、ヒュルケンベルグはQ1中盤に驚きの暫定トップタイムをマークした。だが最終的には16番手にまで転げ落ち、マグヌッセンは7番手で次のラウンドに駒を進めるも、Q2では14番手に留まった。
アップグレードは失敗だったのか?
Q1最終ラップをまとめ切れなかったヒュルケンベルグは、路面の大幅な進化に触れた上で「厄介な場所でレッドブルの2台に妨害された事で少しタイムを失ってしまった。残念だけど、これが結果に影響した」と振り返った。
またマグヌッセンは「残念ながらQ2では良い仕事ができなかった。まだこのクルマについて学んでいる最中で、ようやく分かり始めたばかりだ。Q2のラップは2回とも悪かったけど、それでもQ3まで約コンマ2秒だった」と説明した。
そして、クルマのポテンシャル的にはQ3進出に足る十分な競争力があったとの認識を示し、「データ上では楽にコンマ2・3秒を稼ぐ事ができたはず。Q2ではセクター1でコントロールを失いかけたけど、それでもクラッシュしなかったから驚いた。クルマの中に眠っているタイムがかなりあったのは間違いない。でもそれを引き出す事ができなかった」と語った。
覆い隠されたアップグレード版VF-23の実力は、ハースを次のステージに引き上げるものなのだろうか?
マグヌッセンは「前戦とはコースも路面もコンパウンドも、そして風に関するコンディションも違う」として、「幾らか感じるところはあるけど詳細に比較するのは難しいし、もっと時間をかけて検証してみるつもりだ」と慎重だった。
チーム代表を務めるギュンター・シュタイナーは、Q3は「無理だったかもしれない」としつつも、真っ当にラップを走ればヒュルケンベルグがQ2に進出したのは「間違いない」としたうえで、COTAでの一連のアップグレードについては「やる価値があったと思う」と語った。