2023年F1カタールGP:決勝直前に”異例のタイヤ縛り”を決定—安全懸念から3ストップを義務化

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FIA(国際自動車連盟)は、2023年F1第18戦カタールGPのフォーメーションラップ開始を4時間後に控えた10月8日(日)午後、スプリント後のタイヤ分析を経て、すべてのタイヤについて「18周を超えて使用してはならない」との通達を発表した。

決勝レースは全57周で行われるため、最低3回のピットストップが義務付けられる形となる。これに違反した場合は「危険な状態で走行した」と見なされ、スチュワードに報告される。さらに、FIAは「必要に応じて追加のルール変更を行う可能性がある」としている。

2023年10月8日F1カタールGPの決勝レースに向けたドライバー別温存タイヤセットCourtesy Of Pirelli & C. S.p.A.

2023年10月8日F1カタールGPの決勝レースに向けたドライバー別温存タイヤセット

タイヤ使用制限の詳細

FIAとピレリは、タイヤの使用状況を考慮し、各車の各セットごとに走行可能な最大周回数を指定する方針を示した。

  • 新品・中古を問わず、すべてのタイヤは18周を超えて使用不可
  • コンパウンド(ソフト・ミディアム・ハード)による差異なし

つまり、新品のタイヤであっても、どのコンパウンドであっても18周を超えての使用は禁止される。これは、今回の問題の原因がコンパウンドではなくタイヤ構造そのものに関連しているためだ。

タイヤ使用制限の背景

この措置は、金曜の唯一のプラクティス走行後、約20周使用されたタイヤの多くに構造疲労の兆候が確認されたことに起因する。これらの兆候は顕微鏡でしか確認できないほどの微細なものであったが、安全上のリスクが懸念された。

タイヤの損傷は、ロサイル・インターナショナル・サーキットに設置された縁石とタイヤとの「高周波干渉」が原因とされている。2023年大会に先立ち、路面やランオフエリアは全面的に改修されたが、縁石の形状は2021年と類似していた。

FIAは、スプリント後にタイヤを切り裂くなどして詳細な分析を行い、決勝レースに向けた措置を検討するとしていた。しかし、スプリントでは3度のセーフティーカー(SC)が導入され、実質的なレースディスタンスが大幅に短縮されたため、十分なデータが得られなかった。

縁石の影響と過去の問題

同様の問題は2021年大会でも発生した。初開催となった2021年カタールGPでは、ピエール・ガスリーが予選でターン15の縁石に乗り上げた際に右フロントタイヤがパンクし、決勝ではニコラス・ラティフィを含む4台がタイヤの破損に見舞われた。

この問題を受け、FIAは2023年大会に向けて縁石の配置変更を実施した。週末が開始された後も、イベント2日目の走行開始前にタイヤへの負担を軽減する措置として、「ピラミッド縁石」を走路から約80cm遠ざけるためターン12・13の内側にペイントによる「疑似縁石」を設置した。

しかし、いずれの対策も不十分で、タイヤへの負担は依然として大きく、今回の使用制限に至った。

ドライバーの反応と不満の声

FIAの決定に対し、ドライバー側は「安全を最優先する姿勢には理解を示すが、発表のタイミングが遅すぎた」と不満を表明している。

ドライバー間の連絡手段として使われているWhatsAppのグループチャットや報道を通じて初めて知った者もおり、チーム側との連携が不十分だったことが指摘された。

カルロス・サインツは前回大会から2年もの時間的猶予があったにもかかわらず、FIAはピレリタイヤを「殺す」ようなデザインの縁石に「固執」したとした上で、「メディアを通して知らなきゃならない状況が、あるべき姿でないのは明らかだ」と訴えた。

いずれにせよサーキット側は2024年に向けて、全てのコーナーの縁石を変更する必要ある。

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