角田裕毅への明らかな妨害、にも関わらずフェルスタッペンがペナルティを逃れたのは何故か?アルファタウリは異例対応
計3件のレギュレーション違反疑惑によりマックス・フェルスタッペン(レッドブル)は、悪夢のようなF1シンガポールGP予選を経てスチュワードに召喚されたものの、その全てで降格ペナルティを回避する事となった。
10連勝と過去に例がない好調を維持するフェルスタッペンだが、マリーナベイ市街地コースでのRB19は競争力に欠け、予選では姉妹チームの新人リアム・ローソン(アルファタウリ)に1000分の7秒差で蹴落とされ、11番手でQ2敗退を喫した。
如何にレースペースが良かろうともマリーナベイはオーバーテイクが極めて難しく、レースでの挽回は至難の業だ。11番手からでさえ厳しいものの、フェルスタッペンはセッション後にスチュワードに召喚された。パフォーマンス不足に加えて尽く流れが悪い。
角田裕毅に対する妨害は戒告
3件の中でもターン3で進路を塞ぐという角田裕毅に対する走行妨害に関しては、降格ペナルティを避けることは難しいかに思われた。
しかしながらヴィタントニオ・リウッツィを含む4名の競技審判団は戒告処分(ドライビング)を与えるに留めた。何故か?
スチュワードによると、レッドブル側の代表者として出席したスポーティング・ディレクターのジョナサン・ウィートリーは、コミュニケーション不足があり、角田裕毅が横並びになるまでフェルスタッペンに警告しなかったと説明した。
スチュワードは今季の判例を踏まえた上で「違反の重大性に関する過去の裁定に合わせて、ドライバーに戒告、競技者に罰金」を科した。レッドブルは5,000ユーロ(約78万8,000円)の支払いを命じられた。
注目すべきはアルファタウリ側の対応だ。本来、聴聞会にはインシデントに関わったドライバーとチーム代表者が出席するが、スチュワードによると、どういうわけかアルファタウリの代表者はシニアチーム相手の聴聞会に参加しない決断を下したという。
1回目の計測ラップを台無しにされた角田裕毅はラスト1チャンスに懸けたもののミス。Q1での自己ベストがあればQ3に進出できただけに、非常に悔やまれる結果に終わった。
サージェントに対する妨害はお咎めなし
Q1のターン17~18区間で、クイックラップ中のローガン・サージェント(ウィリアムズ)を妨害したとする件に関してはお咎めなしの裁定が下った。
このセクションは当時、複数台が低速走行し渋滞が発生していた。右、時には左と、自身を追い抜いていくクルマが後を絶たない状況であったためフェルスタッペンは、右側にクルマ1台分のスペースを開け、ラインを維持するのが一番安全な選択肢だったと主張した。
また、サージェントはフェルスタッペンに過失はなく、問題なく1号車RB19の脇を通過できたと主張したため、スチュワードは本件を不問とした。
ピットレーン妨害は戒告処分
青信号が灯っていたにも関わらず、ピットレーンで長時間停車して後続を妨害したとされる件に関しては戒告処分の決定が下された。
停車の理由についてフェルスタッペンは、前走車との車間を空けるためだと説明した。スチュワードによるとこれは約14秒間に渡った。
スチュワードはピット出口での「異様に長い待機」にも関わらず、フェルスタッペンはアドバンテージを得ていないと判断した。ただ、他のドライバーに「悪影響を及ぼす可能性」があったとして戒告処分とした。
3件中2件で違反が認められたものの、いずれも戒告処分(ドライビング)で、ペナルティポイントは付かなかった。フェルスタッペンは今シーズン中にあと3回の戒告処分(ドライビング)を受けると、翌戦で10グリッド降格ペナルティを受ける事になる。