角田裕毅を引き合いにデ・フリース更迭の理由を説明するマルコ
ニック・デ・フリースは何故、僅か10戦でアルファタウリから解雇されたのだろうか? レッドブルのモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコが沈黙を破り、角田裕毅を引き合いに出してその理由を説明した。
ダニエル・リカルドがシルバーストンのタイヤテストで首脳陣に感銘を与えた直後の7月12日(火)、28歳のベテラン新人、デ・フリースの放出が発表された。次戦ハンガリーGP以降はリカルドが角田裕毅のチームメイトを務める。
蘭「De Telegraaf」によるとドライバー人事を統括する80歳のオーストリア人は、サマーブレイクすら待たないシーズン途中での非情な決定について、角田裕毅との比較において敗北し続け、今後、改善の見込みが感じられなかったからだと説明した。
マルコはアレックス・アルボンの後任としてデ・フリースが9位入賞を収めた昨年のイタリアGPに触れて「ニックと契約したのはモンツァで素晴らしいパフォーマンスを発揮したからだ。今年は少なくともチームメイトと同等の走りを見せると期待していたが、そうはならなかった」と語った。
「実際、彼は常にユーキよりコンマ3秒遅かった。改善は見られなかった」
「何か手を打つ必要があった。なぜ待つ必要があるのか。改善が見られないのに、あと2レースの余裕を与えて何の意味があるのか?ニックは本当に良いヤツだが速さがなかった」
ルーキーイヤーである事を踏まえれば、現代F1の複雑性とテスト不足を理由にフランツ・トストが重ね重ね主張しているように、もう少し時間を与えて中長期的に見守る方向もあり得たのではとも思われるが、FIA-F2選手権やフォーミュラE王者であるデ・フリースは”新卒”にはあたらず、中途採用に求められるのは即戦力だとマルコは指摘する。
「彼は様々な経験を積んできた28歳であり、幾つものF1マシンのテストドライバーとして豊富な知識を経験を持っている。私の意見では若いルーキーと比べる事はできない」とマルコは語る。
「4月末のバクーで彼は良い感じで週末をスタートさせた。パフォーマンスが上向いていく事を期待したが、彼は再びクラッシュを喫した」
「残念ながら彼が我々を本当に驚かせるようなスーパーラップをしたことは一度もなかった」
更迭が発表された当日、デ・フリースは前の雇用主であるメルセデスのトト・ウォルフ代表とモナコで会っていたとの未確認情報もあるが、マルコは彼が再びF1マシンのステアリングを握る可能性はないと見ている。
F1におけるデ・フリースの将来についてマルコは「それは難しいだろう。だが本人もこうなる事を予見していたと思う」とした上で「彼は耐久レースで素晴らしいキャリアを築けるだろう」と付け加えた。
マルコはまた、リカルドにとっての10年ぶりの古巣復帰を決定付けたのがテストでのパフォーマンスにあった事を認めた。
「リカルドは3種類のタイヤを使って競争力あるラップタイムを記録した。もしリカルドにスピードがなければ我々は何か他のことを検討しただろう」
「アルファタウリは今のところコンストラクターズ選手権最下位と良くないポジションにいるため、それを変えるために何かをしなければならない」
「これはドライバー交代が行われた後によく起こることだが、リカルドはチームに新しいエネルギーをもたらすだろう」