一強支配に終止符を…ハミルトン、更なるF1マシン開発制限ルールの導入を主張。対するフェルスタッペンは…
レッドブル・レーシングとマックス・フェルスタッペンが選手権争いで独走する中、ルイス・ハミルトン(メルセデス)は国際自動車連盟(FIA)に対し、一つのチームによる長期的な支配体制を防ぐべく、マシン開発を制限する更なるルールを導入すべきだと主張した。
2014年から2020年までタイトルを総なめにしたメルセデスのエースドライバーが提案しているのは、シーズンのあまりにも早い時期に翌年のマシン開発にリソースを切り替える事を禁止するというものだ。
優れたマシンを持つチームはライバルより早く後継機のデザインに取り掛かる事ができる。かつてのメルセデスがそうであったように、F1において優位性というものはシーズンを越えて翌年に持ち越される傾向にある。
レッドブルは2023年シーズンの開幕8戦を終えて負けなしの8連勝を飾っており、フェルスタッペンはランキング2位の僚友セルジオ・ペレスに69ポイント差を、コンストラクターズ選手権ではレッドブルがメルセデスに154ポイント差を築いてリードしている。
F1オーストリアGPの開幕を前にハミルトンは英「Sky Sports」に対して、レッドブルは「遥か彼方にいるため、今年のクルマに変更を加える必要は一切ない状況だ。彼は僕らより100ポイントも先行している」と語った。
「FIAは来年のマシン開発を始めることが可能な時期を設けるべきだと思う。例えば8月1日であれば、来年に向けて誰もアドバンテージを得ることはできなくなる」
「その方が理に適っているだろうし、彼らはそうすべきだ」
「僕らのマシンは正しい方向に進んでいる。最終的には年末までに少しずつレッドブルに追いつく可能性が高いと思うけど、それは彼らが遥かに先行していて、おそらく既に来年のクルマに集中しているからだ」
メルセデスも以前はレッドブルと同じようなアプローチを採っていたのではないのだろうか?
ハミルトンはかつて自身も同じ様に享受していた事を認めつつも「彼らほど早く始めたことは一度もない。だからこそ、変える必要があるって言ってるんだ」と答えた。
「僕が間違っているかもしれないけど、何かが変わらなきゃならない。この先の20年に渡って、1つのチームが大量リードするような時代が来ないほうがクールだと思うんだ。だって僕らはより良いレースを見たいんだから」
ハミルトンの提案に対してフェルスタッペンは「人生も不公平だし、それはF1に限ったことじゃない。生きていく上で色んな不公平な事があるからこそ、それに対処していかなきゃならないんだ」と退けた。
「彼がチャンピオンシップで勝ち続けていた時、僕らはそんな話をしてなかったよね? だから今、話題にすべきじゃないと思う」
「F1はそういうものなんだ」
「僕らの後ろにいる人達がこういう事を口にするのは普通のことだけど、同時に、自分たちが勝っていた時の事を忘れるべきじゃない」
F1は既に弱小チームを優遇する空力開発時間のスライド制など、フィールドの長期的な平準化を目的としたルールを導入しており、レッドブルはこれに加えて2021年の予算上限を超えたことに対するペナルティとしてマシンの開発が更に制限されている。