ルクレールへの無意味な指示、問題と認めるも軽視するフェラーリ
タイミングを誤ったシャルル・ルクレールへの無意味な指示についてフェラーリのフレデリック・バスール代表は、「良い呼び掛けではなかった」と認めながらも、ライバルとの差を縮めるために改善すべき課題は他にあるとして軽視した。
第2戦サウジアラビアGPでのルクレールの苛立ちの矛先はペース不足のSF-23だけではなかった。
ルクレールはルイス・ハミルトン(メルセデス)を抑えて5番手を走行していたものの、ライバルに先んじてタイヤ交換を行った直後にセーフティーカー(SC)が導入。スティントを引っ張っていたハミルトンがアドバンテージを得た。
レースエンジニアを務めるシャビエル・マルコス・パドロスは順位を守るべく「セーフティーカー・ライン1からプッシュしてみて。ハミルトンがピットに入った」との指示を出したが時遅し。ルクレールは「シャビ!…もっと早く言えよ!」と声を荒げた。
これにより順位が交代。ルクレールは5位フィニッシュのハミルトンから12秒遅れの7位でレースを終えた。
f1i.comによるとヘルメットを脱いだルクレールは、チームからの情報がなく、誰かと競い合っている状況にいるという認識がなかったため、SC再開に向けて「タイヤに熱を入れるために(前走車)とのギャップを少し開けようとしていたんだ」と説明した。
「でもその後、確か最初のコーナーの直前の事だったと思うけどシャビが、僕らはハミルトンと戦ってるって言うんだ。遅すぎだよ」
一件についてフェラーリの指揮官バスールは、指示に問題があった事を認めたが、同時に「それは主たる問題ではない。我々がそれに焦点を当てるのは間違いだと思う」とも語った。
「詳細に踏み込むつもりはない。あれは誤ったコミュニケーションだし、正すために話し合う必要がある。だがあれは週末を通しての主要な問題ではない」
ジェッダでの週末、ルクレールは3基目のCE(コントロール・エレクトロニクス)投入によるグリッド降格ペナルティを受けた。前戦バーレーンGPで生じたパワーユニットの信頼性不足によるものだった。その結果、予選2番手ながらも12番グリッドに着いた。
とは言え、仮にセルジオ・ペレス(レッドブル)と並ぶ最前列からスタートしていたとしても、ルクレールがアストンマーチンのフェルナンド・アロンソに対して、そのポジションを守り切れたかどうかは疑わしい。
レースでのSF-23はデグラデーションに深刻な課題を抱えていた。第2スティントでのハードタイヤは特にそうだった。フロント・リミテッドのジェッダでフェラーリ勢はオーバーヒートに苦しんだ。
カルロス・サインツは「アストンよりデグラデーションが大きい。それにレースペースが足りていない。タイヤのデグ、マシンバランス、前のクルマについた時のダーティエアなど、兎に角、僕らは苦労している状況だ」と指摘する。
「ハードタイヤでのスティントでは僕もシャルルも全開でプッシュしていたのに、メルセデスについていけなかった。これが現実だ」
「メルセデスとアストンマーチンは僕らに対してコンマ2、3秒先行していた。でもレッドブルに至っては、まるで予選みたいな走りでスティントの序盤に1秒差をつけ、その後、どんどん差を広げていったんだ」