F1検閲ルール違反 失格や出場停止の可能性も…FIA、線引とペナルティを説明
昨年末に追加された国際スポーツ競技規則(ISC)第12条2項、いわゆる”F1検閲ルール”に違反した場合、出場停止や失格を含む厳しいペナルティが科される可能性がある事が分かった。
国際自動車連盟(FIA)は2023年シーズンに向けてISCを改定し、ドライバーやチーム、オフィシャル等の参加者が事前の許可なく「中立性の一般原則に著しく反する政治的、宗教的、および個人的な声明や意見」を表明する事を禁止した。
これについてランド・ノリス(マクラーレン)は「学生じゃあるまいし」と見直しを要求し、ルイス・ハミルトン(メルセデス)は例えペナルティ・ポイントが科されるとしても「闘い続ける」と強調した。
多くのドライバーから批判の声が上がる中、FIAは2月17日、「中立の原則についてのガイドライン」と題した文書を発行し、新たなルールについて具体的な状況を例に上げて線引を行った。
ルール制定の背景についてFIAは「国際競技会の参加者は、異なる見解、ライフスタイル、価値観を持つ国際社会の一員である。この多様性を尊重するためには、モータースポーツが政治的、宗教的、あるいは個人的な干渉から切り離され、中立的であり続けることが基本である」と説明した。
「また、この原則は、参加者が特定の国内または国際的な問題に対して、そうしたくないのに公的な立場を取らざるを得ないような状況に置かれることを防ぐことも目的としている」
FIAは競技の参加者が「いかなる政治的、宗教的、個人的な問題に対しても意見を表明することができる」と強調する一方、それは以下の特定の状況に限定されると説明した。
- ソーシャルメディアを通して
- テレビまたは印刷メディアとのインタビューの中で
- FIA記者会見での認定ジャーナリストに対する応答の中で
また発言が制限される場合として以下の具体例を挙げた。
- FIA記者会見(認定ジャーナリストから質問に対する応答を除く)
- コース上またはそれに準ずる場(ドライバーズパレード、国歌斉唱時など)
- レース前後のプロセスまたはそれに準ずるもの(表彰台セレモニー、クールダウンルーム、シーズン開始時と終了時の集合写真など)
許可されない状況下で主張・声明を出すためには、その理由を示した申請書を提出し、該当するイベントの4週間前までに許可を得なければならない。
何が「政治的」「宗教的」「個人的」にあたるのかについてはケース・バイ・ケースであり、最終的にはスチュワードの判断に委ねられるとしつつも、ピエール・ガスリーがレース前に行っているような「空を指さしたり、十字を切ったりする」ような私的な宗教的ジェスチャーは除外されるとした。
スチュワードは違反と判断した場合、ISC第12条4項1に定められている以下のペナルティのいずれかを科す事ができる。
- 警告
- 訓戒(叱責)
- 罰金
- 社会貢献活動
- レースタイム、予選タイム、練習走行タイムの不認定または削除
- グリッド降格
- ピットレーンスタート
- タイムペナルティ
- ペナルティーラップ
- リザルト降格
- ドライブスルー・ペナルティ
- ストップ&ゴー・ペナルティ
- 出場停止(失格)
- 資格停止
- 資格取消