角田裕毅、ガスリーに代わる指揮「難しい」アルファタウリからの関心に驚いたハータ
ピエール・ガスリーのアルピーヌ移籍が実現すれば、アルファタウリのチームリーダーとしての役割は角田裕毅に託される可能性が高い。だが、F1での出走経験が35戦に過ぎない22歳の日本人ドライバーは、チームメイトが担ってきた役割を完璧にこなすだけの自信が持てていない様子だ。
お粗末な事務対応で僅か1ヶ月の間にフェルナンド・アロンソとオスカー・ピアストリの2人を失ったアルピーヌは、2023年のエステバン・オコンのチームメイトとして同じフランス出身のガスリーに白羽の矢を立てている。
レッドブルにとって、ガスリーのアルピーヌ移籍の条件は後任候補の確保だ。クリスチャン・ホーナー代表はそれに見合うのはコルトン・ハータだけだとしており、全てはハータにFIAスーパーライセンスの免責事項が適応されるかどうかに懸かっている。
現時点ではまだ角田裕毅の残留は発表されていないが、アルファタウリのフランツ・トスト代表はザントフォールトでその可能性が高い事を仄めかしている。この場合、角田裕毅はガスリーに代わってチーム内でリーダーシップを発揮する事が求められる。
英Autosportによると角田裕毅は、ルーキーとコンビを組む事になった場合、チームを率いていける自信があるかとの質問に対して「もちろん、難しいでしょうね」と答えた。
曰く、仮にチームリーダーとしての役割を担う事になったとしても、フィードバックやパフォーマンスという点で「すぐに」ガスリーと同じレベルの結果を残せるとは考えていないと言う。
「チームが苦しんでいる時であっても、ピエールは常に質の高いフィードバックを返しています」と角田裕毅は続ける。
「ピエールのように、すぐにパフォーマンスを発揮したりチームへのフィードバックができるようになるとは思っていません。今は彼からできるだけ多くを学んでいる最中です」
噂のハータは最終戦を残すインディカー・シリーズに集中したいとして今回の件について詳しい言及を避けているが、まさかアルファタウリのシートの話が出るとは夢にも思っていなかったという。
カリフォルニア出身の22歳は「関心があるって話を聞いた時、誰からも注目されていないと思っていたから少しびっくりしたよ」と打ち明けた。
「マクラーレンのみんなは、テストが上手くいった事、そして僕が肉体的にも精神的にも準備ができていた事に満足しているようだった」
「だから、それが助けになったんだと思うけど、アルファタウリの話が出た時には少し驚いた」
ハータは今年7月、旧車プログラム契約の一環としてポルトガルのアルガルベ・サーキットで1年落ちのマクラーレンMCL35Mを走らせた。
レッドブルがハータに目を向けた一つの理由はマーケティング面だろう。米国におけるF1市場は急速な拡大傾向にあり、ハータはアメリカンモータースポーツ界で注目の若手ホープだ。
無論、国籍ばかりが要因ではない。一貫性に欠ける部分はありながらも、インディカー到達後は燃費やタイヤマネジメントなど、一発の速さに加えてレースクラフトを改善させ、適応力を示してきた。
FIAは現在、ハータにライセンスの資格があるかどうかを調査中で、レッドブルのモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコによると今週末のイタリアGPまでに何らかの決定が下される見通しだ。
ただ、アルファロメオのF1チーム代表を務めるフレデリック・バスールやハースのギュンター・シュタイナー代表、メルセデスのトト・ウォルフ代表に加えてF1のステファノ・ドメニカリCEOらが不可抗力免責の適用に否定的な立場を示すなど、ライセンス取得を巡る周囲の反応は冷ややかだ。