アルファタウリのジョディ・エギントンとレッドブルのピエール・ワシェ、メルセデスのマイク・エリオット、2022年5月21日F1スペインGP
Courtesy Of Red Bull Content Pool

F1予算制限時代…ライバルの懐具合をモニタリング分析するチーム

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ライバルチームのアップグレードの技術的側面を監視・評価するのは常だが、F1チームは今や競合の懐事情に目を向けており、資金の使い方やその額を把握して開発およびトラック上での競争に打ち勝とうとしている。

アルファタウリの技術部門を率いるジョディ・エギントンは「我々は常に関心を持って、ライバルが何をしているのかに目を光らせている」と述べ予算状況を分析していると認めた。

アルファタウリのテクニカルディレクターを務めるジョディ・エギントン、2022年5月21日F1スペインGPプレスカンファレンスにてCourtesy Of Red Bull Content Pool

アルファタウリのテクニカルディレクターを務めるジョディ・エギントン、2022年5月21日F1スペインGPプレスカンファレンスにて

エギントンはまた、自チーム内の事情について触れ、予算管理は「設計及び評価プロセスの一部」であるとして「特に予算が限られている現在では、どの位の費用が掛かるのかについての理解に大きな重点を置いている。初期コストや継続的なコスト、そしてパーツの寿命についてね」と付け加えた。

「従ってライバルチームのコンポーネントに関しても、こういった部分を含めて見ている」

ただし、その支出を正確に把握するのはやはり困難なようだ。

レッドブルのテクニカルディレクターを務めるピエール・ワシェは、アルファタウリと同じ様にライバルの支出予測に取り組んでいる事を認めた上で、「インフレは日々変化しており、コンポーネントや各材料のコストは変動し続けている」として、他車のアップグレードのコスト評価は「本当に難しい」と説明した。

製造方法を一つとっても内部で作るのか外部に発注するのかで違いがあり、一度作ったコンポーネントを変更する場合は金型、工具についても再検討しなければならない。

ワシェは「我々はコスト面に取り組んでおり、効率的なパーツ製造、そしてコンポーネントのコスト削減方法を模索しているが、正直なところ、どのようにしてライバルのコストを予想したものか悩んでいるところだ」と付け加えた。

レッドブルのテクニカルディレクターを務めるピエール・ワシェ、2022年5月21日F1スペインGPプレスカンファレンスにてCourtesy Of Red Bull Content Pool

レッドブルのテクニカルディレクターを務めるピエール・ワシェ、2022年5月21日F1スペインGPプレスカンファレンスにて

予算制限時代のF1では費用対効果の高い開発プロジェクトを優先して進める必要がある。例え開発をスタートさせても、それがパフォーマンス面で効果を産まない事が分かれば、つぎ込んだお金、人材などのリソースを失う事になる。

グランドエフェクトカーが導入された今年の主戦場はフロアだ。アルピーヌのパット・フライは、同じコストを掛けた場合、フロアの開発効果はフロントウイングの10倍高いと明かしている。

今季の予算上限は1億4000万ドル(約178億円)に設定されているものの、世界的なインフレや輸送費の高騰を受けチームの予算は圧迫されており、舞台裏では国際自動車連盟(FIA)との間で、レッドブルを筆頭とする予算引き上げ推進派と反対派が駆け引きを繰り広げている。