レース前セレモニーに参加したダニエル・リカルド(マクラーレン)、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)、ルイス・ハミルトン(メルセデス)の後ろ姿、2022年4月10日F1オーストラリアGP
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レッドブル、目の前に広がる「困難な時代」問題山積…落ち着けと促されるフェルスタッペン

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開幕3戦を終えて見えてきたのは課題の多さだ。マックス・フェルスタッペンはサウジアラビアGPで優勝を果たしたものの、セルジオ・ペレスと共倒れになった開幕を含めて他の2戦ではリタイアを余儀なくされた。それもドライビングミスによってではなく、マシンの信頼性不足によってだ。

バーレーンGPの終盤に燃料システムのトラブルによって2位の座を失った24歳のオランダ人ドライバーは、第3戦オーストラリアGPで再び燃料周りと疑われるメカニカルトラブルによって2位を失った。

これについてクリスチャン・ホーナー代表は「タンクの外側にある燃料システムの問題が原因のようだ」と説明した。不具合を起こしたパーツは詳細な調査と分析のために栃木県のホンダのファクトリー、HRD Sakuraへと送られた。

フェルスタッペンの1号車に関しては、レースを前に補助用ラジエーター、ディフレクター、クラッチ・アクチュエータなどの6つパーツの交換に加えて油圧系パラメータが変更されており、フェルスタッペンがレース前の段階からリタイヤする可能性を認識していたと発言した事から、39周目のトラブルとの間の関連性が疑われたが、ホーナーは「今回の問題とは関係ないと思う」と述べ、原因は別にあるとの見方を示している。

マックス・フェルスタッペンの1号車RB18をダミーグリッドまで運ぶレッドブル・レーシングのメカニック、2022年4月10日F1オーストラリアGPCourtesy Of Red Bull Content Pool

フェルスタッペンの1号車RB18をダミーグリッドまで運ぶメカニック、2022年4月10日F1オーストラリアGP

モータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコはSky Deutschlandとのインタビューに対して「ガソリンが漏れたが、どこでどのように漏れたかは分からない」と述べ、燃料漏れが発生していたと明かした上で、開幕バーレーンGPで発生したものとは別の種類のトラブルだと説明した。

「ガソリンが大量に漏れてしまったため、すぐに止めるべきだと言ったんだ。できれば消火器があるところでね」

グリッド上でヘルムート・マルコと話をするレッドブル・レーシングのマックス・フェルスタッペン、2022年4月10日F1オーストラリアGP決勝レースCourtesy Of Red Bull Content Pool

グリッド上でフェルスタッペンと話をするヘルムート・マルコ、2022年4月10日F1オーストラリアGP決勝レース

ホーナーによるとハードウェアそのものには問題がなく、今後も継続使用できる見通しだと言うが、3レースで計3回のマシントラブルは決して許容できるものではなく、無事に完走を果たしたペレスも不安を抱えている事を否定しない。

2位表彰台に上がったペレスは「確かに懸念はある。この3レースで既に多くのポイントを失ったため、チャンピオンシップ争いで途方もない差がついてしまった。だからその事については当然、分かってる」と語った。

「ここにいるチームとミルトンキーンズの全員が全力で解決策を考えている。今日のマックスの問題については、まだ正確には分かっていないから今は見守る必要があるけど、必ず解決できると思っているし、ヨーロッパに戻ったら、またゼロからスタートできることを期待している」

レース後トップ3会見に出席したレッドブル・レーシングのセルジオ・ペレス、2022年4月10日F1オーストラリアGPCourtesy Of Red Bull Content Pool

ペレス、F1オーストラリアGPのレース後トップ3会見にて

信頼性の早期改善は必至だが、レッドブルはパフォーマンス面でもフェラーリに遅れを取っている。

シャルル・ルクレールはアルバート・パーク・サーキットでの58周のレースで一度たりともレッドブルの接近を許さず、後続に20秒以上の差をつけて史上26人目のグランドスラムを達成した。特に、誰もがデグラデーションに苦労したミディアムでのスティントで圧倒したペースを刻んでいたのが印象的だった。

マルコは「今日のフェラーリの速さには驚かされた。彼らは我々とは異なり殆どタイヤに気を配る必要がなかった。別格だった」とライバルを褒め称え、「ペレスは素晴らしいレースをしたが、残念ながら我々は明らかに遅れをとっている」と付け加えた。

シャルル・ルクレールのF1オーストラリアGPでの優勝を喜ぶスクーデリア・フェラーリ、2022年4月10日アルバート・パーク・サーキットにてCourtesy Of Ferrari S.p.A.

シャルル・ルクレールのF1オーストラリアGPでの優勝を喜ぶスクーデリア・フェラーリ、2022年4月10日アルバート・パーク・サーキットにて

週末を通して気になったのは、レッドブルRB18がターン13で幾度となく挙動を乱し、何度もタイヤスモークを上げていた点だ。セットアップ変更では解決し切れず、決勝最終盤にはペレスも同じ様にコース外の芝に飛び出す場面があった。

ペレスはこの点について「あれは僕らが抱えている課題から来るものだと思ってる」と説明した。

「セクター3は僕らのアキレス腱だった。その解決のために色々と妥協した結果、あの場所だけでなくサーキット全体に影響を及ぼす事になった」

「だから、そうだね…あのコーナーは特に、僕らにとって神経質な場所なんだ 。本当に容易にミスしてしまう」

興味深いことにこのセクションでのエラーの回数は圧倒的にフェルスタッペンに集中していた。予選ではこの場所でのミスによってコンマ3秒近くを失いポールを逃した。マルコは「限界を超えて多くを望みすぎている」と述べ、フェルスタッペンに対して落ち着くよう促した。

「世界選手権のタイトルを取って幾らか落ち着くだろうと思っていたが、どうやら彼にはもう一つのタイトルが必要なようだ。そうすれば、あんなに過度なプレッシャーを抱えて予選に挑まずに済むだろう」

レースを前にコックピットの中で集中力を高めるレッドブルのマックス・フェルスタッペン、2022年4月10日F1オーストラリアGPCourtesy Of Red Bull Content Pool

レースを前にコックピットの中で集中力を高めるレッドブルのマックス・フェルスタッペン、2022年4月10日F1オーストラリアGP

チームは今後の開発によってフェラーリを捕まえるべく、予選と決勝で2台のセットアップを分けデータを集めた。そして次戦エミリア・ロマーニャGPで「かなりのタイムアドバンテージ」が期待できる待望の軽量化アップデートを投入すべく準備を進めている。だが決して楽観できる状況ではない。

マルコはフェラーリの支配的な強さに触れてこう語った。「我々の前には困難な時代が待っている」

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