FIA公式会見に出席したバルテリ・ボッタス、ランス・ストロール、ジョージ・ラッセル、アレックス・アルボン、ランド・ノリス、2022年3月25日F1サウジアラビアGP
Courtesy Of Alfa Romeo Racing

”様々な意見”が噴出しながらもF1ドライバーがサウジアラビアGP続行に同意した理由

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「様々な意見」が噴出し、深夜2時半近くにまで渡る計4時間ぶっ続けの議論を交わした末に、ドライバー達はF1やチーム代表者の意向に沿うようにサウジアラビアGPの続行に同意した。

ジェッダ市街地コースで行われた金曜の1回目のフリー走行の最中に、会場から車で20分ほどの距離にある石油関連施設がミサイル攻撃を受け爆発炎上した事件を受け、F1と国際自動車連盟(FIA)はイベントの続行を主張し、F1チーム代表者たちは満場一致でこの決定に同意した。

だが、この会議に同席したドライバー達はチーム代表者らが去った後も会議室に残り、延々と話し合いを続けた。一部あるいは全てのドライバーが開催続行に強い懸念を抱いていた事は明らかで、何名かのチーム代表者やF1幹部らが戻ってきて議論に加わる場面もあった。

結局このミーティングは日付変わった深夜2時半を前に解散となった。

会議終了から半日を経てGPDA会長を務めるアレックス・ブルツはF1ドライバー達を代表して次の声明を発表した。ドライバー達は今回のテロに対して「人として当然に抱く懸念」に苛まれ、話し合いでは「様々な意見」が出されたものの、最終的にサウジアラビア政府の閣僚からも「最大限の安全対策が講じられている」との説明を受け、イベント続行に合意したと言う。

「昨日はF1にとって大変な1日であり、我々F1ドライバーにとってもストレスの溜まる日だった」

「ひょっとすると、この高速でチャレンジングなジェッダのコースでF1マシンを運転したことがない人には理解しがたいかもしれないが、事件により上がる煙を目にしながら、レーシングドライバーとしての職務に完全に集中する事は難しく、人として当然に抱く懸念を払拭することは困難だった」

「その結果我々は、我々同士を含めてチーム代表者やこのスポーツを運営する上層部と長い議論を重ねることになった」

「さまざまな意見が交わされ、F1の権力者だけでなく、サウジアラビア政府の閣僚からも最大限の安全対策が講じられているとの説明を受けた結果、今日は練習と予選、明日はレースを行うという結論に至った」

「2022年のサウジアラビアGPが、昨日起きた事件のためではなく、良いレースとして記憶されることを願っている」

F1とFIAも3月26日(土)の正午に次の共同声明を発表し、レース続行を改めて宣言すると共に「開かれた対話」を続けていくことを約束した。

「すべてのチーム及びドライバーとの話し合いを経て、2022年のFIA-F1サウジアラビアGPは予定通り開催されることになった」

「金曜日にジェッダで発生した周知の事件を受け、全ての利害関係者、サウジアラビア政府当局、治安当局との間で広範な話し合いが行われ、イベントの安全性について完全かつ詳細な保証がなされた」

「イベント期間中、そして将来に渡って明確で開かれた対話を継続することが、すべての関係者の間で合意された」

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