険しい表情のニキータ・マゼピン(ハース)、2022年2月25日F1バルセロナテストにて
Courtesy Of Haas

揺れるハースF1、マゼピン及びウラルカリとの関係終了の可能性認める…ロシア進軍を受け

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ロシア軍によるウクライナ侵攻を受けハースF1チームのギュンター・シュタイナー代表は、タイトルスポンサーを務めるウラルカリ社との関係解除並びに、同国出身のニキータ・マゼピンの今季シート喪失の可能性を認めた。

ロシアに対する各国の制裁措置がビザ発給や企業間取引に与える影響如何によって、ハースはスポンサーと合わせてレギュラードライバーを失う恐れがある。

ロシア軍によるウクライナ侵攻を受け真っ白なカラーリングに変更されたハースVF-22、2022年2月25日F1バルセロナテストにてCourtesy Of Haas

ロシア軍によるウクライナ侵攻を受け真っ白なカラーリングに変更されたハースVF-22、2022年2月25日F1バルセロナテストにて

チームは25日のF1バルセロナテスト最終3日目に先立ち、まずはVF-22に掲げていたウラルカリのロゴ並びにロシアンカラー(赤、青、白)を取り除いた。無地のマシンは今後の不安を煽るものだった。

ウクライナへの軍事侵攻の影響は既にスポーツ全体に及んでおり、F1は25日、現在の状況下において9月に予定されているロシアGPを開催する事は不可能だとして事実上の中止を発表した。

ロシア・ベレズニキに本拠地を置くウラルカリ社は、マゼピンの父ドミトリーが筆頭株主の化学肥料企業で、侵攻前日の木曜日にモスクワでプーチン大統領と会談した37人のビジネスマンの中にドミトリーの姿があった事が確認されている。

こうした状況の中、ESPNによるとシュタイナー代表は25日、マゼピンをバックアップしているウラルカリとの契約について来週中に何らかの決定を下す予定だと説明した。

また、マゼピンのシート状況についてシュタイナーは「解決すべき問題」と述べ、先行きが不透明である事を認めた上で「政府絡みの事であり、私個人には何の力もない。ウクライナの進展を見守る必要がある」と語った。

そして今のマゼピンについては「表情が険しい。母国の事だから気にならないわけがない」と説明した。

戦争行為において非難されるべきは軍や政府であっても国民ではない。カタロニア・サーキットでの25日のランチブレイク会見を急遽欠席したマゼピンは、SNSを通してファンの支援と理解に感謝した。

「僕のファン、フォロワーのみんなへ。この大変な時期にあって僕の力の及ばない事がたくさんある。だから僕は自分自身でコントロールできる事にだけ、そしてチームのためにベストを尽くす事にだけ集中していくつもりだ。みんなの理解と支援に深く感謝してる」

ハースF1チームのギュンター・シュタイナー代表と小松礼雄エンジニアリングディレクター、2022年2月24日F1バルセロナテストにてCourtesy Of Haas

ハースF1チームのギュンター・シュタイナー代表と小松礼雄エンジニアリングディレクター、2022年2月24日F1バルセロナテストにて

2週間後にはバーレーンでの第2回プレシーズンテストが控えている。仮にマゼピンの降板が決まった場合、レギュラードライバーが誰になるかはさておき、チームはバーレーンテストでリザーブのピエトロ・フィッティパルディを起用する可能性が高そうだ。

ウラルカリからのスポンサーマネーが途絶えた場合、マゼピンのシートのみならずチーム存続の危機も懸念されるが、シュタイナーは現時点で制裁措置によるビジネス上の影響は出ていないとして「頭痛の種ではあるが、競技という面ではチームを混乱させるものではない」と説明した。

また今後についても「財務的には問題ない。チームや運営方法、成績、シーズン計画などには全く影響がない。資金調達の方法はいくらでもある。だから問題はない」と強調。全従業員に対して、仮にウラルカリを失っても将来は安泰だと約束したと言う。

シュタイナーは更に、少なくともウクライナ侵攻前日木曜の時点では、マイケル・アンドレッティと連絡を取っていないと明かした。

同じアメリカを母国とするアンドレッティは自らが立ち上げたチームで2024年のF1参戦を計画しているが、ウラルカリが去った場合、ハースと何らかの形で関係を持つのではとの見方がある。

ハースF1チームのギュンター・シュタイナー代表とジーン・ハース、2022年2月24日F1バルセロナテストにてCourtesy Of Haas

ハースF1チームのギュンター・シュタイナー代表とジーン・ハース、2022年2月24日F1バルセロナテストにて