フェルスタッペンの「完全に常軌を逸した」ポールラップを称賛するレッドブル、”フラットスポット事件”のレースへの影響を除外
レッドブル・ホンダのクリスチャン・ホーナー代表はマックス・フェルスタッペンの圧巻のポールポジションについて、クルマが低ダウンフォース仕様であった事を明かして「完全に常軌を逸した」走りだと称賛した。
ストレートで強力なスピードを放つメルセデスに対抗すべく、チームは最終アブダビGP予選に向けて低ダウンフォース仕様のセットアップを選択。更に、2本のバックストレートでセルジオ・ペレスにフェルスタッペンを牽引させるチームプレーを敢行した。
ペレスは”再現不能”な完璧な援護でチームメイトのトップスピードを引き上げた。フェルスタッペンは同一ポイントで並ぶルイス・ハミルトンに0.371秒という大差をつけ、初のチャンピオン獲得に向けてポールポジションを掴み取った。
クリスチャン・ホーナーは予選を終えて、献身的なペレスを高く称賛する一方、今季10度目のポール獲得はスリップストリームによるゲインではなく、フェルスタッペンのクレイジーな走りの賜物だとの考えを示した。
「マックスの今年のベストラップの一つになったと思う」とクリスチャン・ホーナー。
「チェコ(ペレス)はチームメイトに協力して、2本のストレートで彼にトウを与えてくれた。完全かつ完璧なチームワークだった」
「スリップストリームについて話し合ったのは今朝の事だ。チェコは本分を守る男だ。彼はチームメイトのパフォーマンスを引き上げるために、自分にとっての最大のチャンスラップを犠牲にしたんだから。これ以上、彼に求める事はできない」
「トウの価値はコンマ5秒もなく、コンマ1~2秒だったと思う。マックスはあのダウンフォース・レベルにも関わらず、最終セクターで完全に常軌を逸した走りを見せた」
ドライバーズチャンピオンシップ獲得に向けて最高の予選結果を得たレッドブル・ホンダとフェルスタッペンだが、内容はパーフェクトとは言えず決勝レースに向けて懸念材料もある。
スタートタイヤが決するQ2でフェルスタッペンは、1セット目にミディアムタイヤを履いてQ3進出に十分なタイムを残したものの、どういうわけかその後、ターン1でタイヤをロックアップさせフラットスポットを作ってしまった。チームは当初の予定を取り下げて2セット目にソフトタイヤを履かせた。
2-4番グリッドに並ぶメルセデスは耐久性で分があると見られるミディアムを履いてレースに臨む。かたやレッドブル・ホンダの2台はソフトだが、クリスチャン・ホーナーはこれがレースに大きな影響を及ぼすとは考えていない。
「これについて(スタートタイヤをどうするか)は今朝話し合ったところ、かなり五分五分だという結論に達した」とホーナーは説明する。
「ソフトスタートに関しては過度に動揺してはいない。確かにミディアムは少しばかりロバスト(長持ちする)だがね。レースでのデグラデーションがどうなるか本当に興味深い」
例外的状況においてはフェルスタッペンがハミルトンの後方でフィニッシュしてもタイトルを獲得できるシナリオもあるが、原則的には前でフィニッシュした方が今シーズンの栄冠を手にする事になる。
フェルスタッペンは決勝で何をすべきなのか? そう問われたクリスチャン・ホーナーは次のように答えた。
「兎に角、最高のレースをしなければならない。集中してスタートを切り、最速のレースを戦う必要がある。それがルイスを倒すのに十分である事を願うよ。我々が集中すべきはそういう事だ」
2021年シーズンのF1フィナーレを飾る最終第22戦アブダビグランプリの決勝レースは、日本時間12月12日(日)22時にスタート。1周5,281mのヤス・マリーナ・サーキットを58周する事でチャンピオンシップを争う。