COTA制覇で一歩優位…フェルスタッペン戴冠条件は1勝、4表彰台。次なる山場はジェッダ市街地コースか
メルセデスやや有利と目されたサーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)での第17戦アメリカGPは、マックス・フェルスタッペンの今季8勝目と共に幕が下りた。2021シーズンは残り5戦。初のタイトル獲得に向けて1勝、4表彰台が求められている。
ディフェンディング王者のメルセデスは、2014年以来の全てのUSグランプリでポールポジションを独占してきた。だが23日の予選で最速を刻んだのはフェルスタッペンだった。英国ミルトンキーンズのチームはV6ハイブリッド時代で初めてCOTAでポールを勝ち取った。
フェルスタッペンは1ラップのスピードでルイス・ハミルトンを退けただけではなかった。仮に2スティントと同じ様にタイヤを使っていれば、決勝レースの最終スティントで猛追してきたハミルトンを抑え切る事は出来なかっただろう。重圧を押しのけての実に見事なタイヤマネジメントだった。
レッドブル・レーシングのモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコが週末に先立って「世界選手権を制するための方程式」として挙げていたのは、アメリカGPを含めてシーズンの残りで2勝、4表彰台を獲得する事だった。
COTAでの1勝を経て、その条件は1勝、4表彰台へと変わり、ホンダラストイヤーでの念願のタイトル獲得のシナリオはまた少し現実味を帯びた。次に控えるメキシコとブラジルは過去にホンダがアドバンテージを誇ってきたグランプリであり、いずれもレッドブルが優勢と見られる。
1996年のF1ワールドチャンピオン、デイモン・ヒルはSky Sportsの中でCOTAでの56周を振り返り「現時点でタイトルはマックスの手にあるように見える」と述べ、ハミルトンが劣勢にあるとの見方を示した。
ただしフェルスタッペンを含めて、チーム内の誰もが先を楽観視しておらず、メルセデスもまた決して白旗を上げる事を考えてはいない。
リアのライドハイトを下げる事でドラッグを減少させ、トップスピードを引き伸ばていると見られるメルセデスのリアサスペンションはレッドブルの首脳陣曰く、第16戦トルコGPで速度差20km/hものゲインを生み出していたが、COTAではその影を潜めた。
だが、レッドブル・ホンダのクリスチャン・ホーナー代表は今季カレンダーに初登場したサウジアラビアGPの舞台、ジェッダ市街地コースを例に挙げて、コースによっては「かなり強力」に機能するはずだと警戒している。
このシステムが上手く機能したと見られるイスタンブール・パークでのレースでフェルスタッペンは、トップを走るバルテリ・ボッタスを一度も脅かす事が出来なかった。
なおホーナーは「歴史的に馴染みあるやり方であって、彼らは過去にもそれを使っていた」と述べ、ライバルが成し遂げた見事な仕事ぶりを違法と見なしてはいないとしている。
信頼性やインシデントの発生を除外すれば、ハミルトンとメルセデスは残り5戦でも優勝争いに絡むパフォーマンスを見せつけてくるはずで、一戦一戦が今季の勝負の分かれ目となり得るが、中でも全くの未知数のカタールとサウジアラビアは特に注目される。