メルセデス、交換多発でエンジン製造間に合わず? アストンマーチン、再三に渡って計画変更か
アストンマーチンは当初、8月末の第12戦ベルギーGPの週末にセバスチャン・ベッテルへの4基目のICE(内燃エンジン)投入を計画していたが、メルセデスパワーユニット勢の交換が多発した事で供給を受ける事ができなかった…そんな噂が流れている。
今シーズンは異様なほど多くのメルセデス・ユーザーがグリッド降格の憂き目に遭っている。V6ハイブリッド時代の絶対王者足る英国ブリックスワースのファクトリーが送り出す6気筒ターボエンジンにはもはや、かつてのような高い信頼性はない。
年間上限基数を超えるICEを開封しているメルセデスドライバーは、カスタマーを含めて6名に及び、割り当てを越えたエンジンは計8基に達している。
パドックでは、アストンマーチンは夏休み明けのスパでベッテルに新しいエンジンを投入する事を計画していたものの、その時既にルイス・ハミルトン、バルテリ・ボッタス、ランド・ノリス、ダニエル・リカルド、ランス・ストロール、ニコラス・ラティフィの計6名の変更が計画されていたため断念を余儀なくされたと噂されている。
アメリカGPの金曜FIAプレスカンファレンスでメルセデスのトト・ウォルフ代表は、ベルギーでのアストンの件に関する真偽、並びにエンジンの在庫管理方法とそのストック数について問われるも、話題をそらして答えなかった。
なおアストンマーチンは、ベッテルのエンジン交換計画をトルコGPに変更したものの再び供給を受けることが出来ず、2ヶ月近く遅れた第17戦アメリカGPでようやく4基目を受け取ったと言う。
トルコと言えばハミルトンとリカルドが4基目を投じたタイミングだ。噂が事実ならメルセデスはトルコの週末に2基しか予備を用意できていなかったという事になる。
イスタンブール・パークでのレースは雨となり、後方からの逆転のチャンスが高い状況であっただけに、交換ペナルティを消化するには絶好のタイミングだった。
メルセデスとしては大量に作り貯めておくわけにもいかない。シーズンを越して旧型が余れば大きな損失となる。トロロッソが1年落ちのフェラーリエンジンを積んだ2016年のような状況は今や存在しない。
独auto motor und sportによるとメルセデスは通常、カスタマーチーム1つに付き、週末ごとに1基のスペアエンジンをストックしていると言うが、どうやら今年はその状態を維持できていないようだ。
今季はマクラーレンという新たな顧客が加わったため、唯でさえファクトリーの稼働率が上がっている上に、V6の信頼性不足によって交換が多発した事で余計にストックが枯渇気味であるらしい。
そんな状況に加えて来季はE10燃料が導入されるため、今後は更に製造ラインが圧迫される事になる。シーズン開幕を前にメルセデスのこのような姿を予想した者がいただろうか。