メルセデス 止まらぬPU交換ラッシュ…ハミルトン、2度目の降格ペナルティ必至か
メルセデスの2021年型F1パワーユニット「M12」のICE(内燃エンジン)に関する信頼性懸念が払拭されない中、トト・ウォルフ代表はアメリカGPを含めた残りのシーズンでのルイス・ハミルトンへの5基目投入を検討中だと認める。
メルセデスはサーキット・オブ・ジ・アメリカズ(COTA)での週末に先立ち、バルテリ・ボッタスに6基目のICE(内燃エンジン)を投入した。5基以上のエンジンを投じているのは4つのエンジンメーカーの中でメルセデスのみだ。
ボッタスがICEを開封するのは、なんと過去6戦で4回目だ。年間上限基数を2基上回るため、仮にポールポジションを獲っても、ボッタスは5グリッド降格の6番手から日曜のレースをスタートする事になる。
更にカスタマーチームのアストンマーチンとウィリアムズもそれぞれ、セバスチャン・ベッテルとジョージ・ラッセルに4基目のICEを含む複数コンポーネントを搭載。ボッタス同様、降格ペナルティによる最後尾スタートが確定している。
なおM12を搭載する8台のうち、降格ペナルティを受けていないのはランド・ノリス(マクラーレン)とランス・ストロール(アストンマーチン)のみだ。
ハミルトンが5基目のICE(内燃エンジン)を搭載して再度ペナルティを受ける可能性は益々高まっているように見える。FP1後に行われた金曜会見の中でトト・ウォルフは「確率を言う事はできないが、明らかにリスクはある」と述べ、その可能性を認めた。
「状況を先取りしてペナルティを消化しダメージを負うのか、あるいはリタイアのリスクを負って走るのかという点で難しい決断だ」
「これは我々が今、話している最中にも行われている議論であり、まだ正しい答えは出ていない」
「御存知の通りだと思うが、我々は今年、信頼性に苦しんでいる。今回はバルテリに6基目のエンジンを搭載するが、これは我々が望んで選択したことではなく、むしろ逆だ」
「問題を克服しようと懸命に取り組んでいるが、今はまだ十分に理解できていないのだ」
具体的にはどういう問題が生じているのか? そう詰め寄られたトト・ウォルフは「明らかにしたくはない」と退けた。
「例えばモンツァではバルテリが後方からスタートしなければならず、それによってポイントを失ったように、この問題は今もそして常に懸念されている」
「我々は毎年、パフォーマンスを向上させようと限界まで努力しているが、今年はそれによってポイントが失われるところにまで来てしまった」
「だが過去7~8年に渡って我々は、こうしたプッシュし続けるというマインドセットで以てレースやチャンピオンシップを勝ち取ってきた」
「ペナルティを避けエンジンの使用基数を減らしたいと考えていたものの、今年はそのマインドセットが仇となってしまった」