角田裕毅の鮮烈デビューに興奮のチーム首脳陣達、予選Q3・ポイント獲得に期待 / F1バーレーンGP
ルーキーらしからぬ鮮烈のF1公式週末デビューを飾った角田裕毅は、ファンだけでなくチーム首脳陣に大きな感銘を与えた。レッドブル・レーシングのモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコは興奮を隠さず、アルファタウリ・ホンダのフランツ・トスト代表はポイント獲得に期待感を示した。
日没を迎えサーキット全体が人工照明に照らされる中、2021年シーズンの開幕バーレーンGPで一際輝きを放ったのはアルファタウリ・ホンダ「AT02」を駆る20歳の日本人ドライバーだった。
角田裕毅は経験豊富なチームメイト、ピエール・ガスリーを0.189秒差で抑える7番手タイムを刻み、シニアチームであるレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンが刻んだベストタイムにコンマ45秒と迫った。
クリスチャン・ホーナーとの双頭体制でレッドブル・レーシングを束ねるヘルムート・マルコはServusTVの中で「彼にはいつも驚かされる」と、興奮を隠さなかった。
「ユーキは見ていて本当に楽しいドライバーだ。何より彼の自信が素晴らしい。今後も更に多く、こうした光景を目にする事ができるだろう」
フェルスタッペンですら、与えられた5セット分のタイヤを使って全てのラップでタイムを改善させる事はできなかった等として、ヘルムート・マルコはプレシーズンテストの段階から既に、この類まれなるスピードを持つルーキーを賞賛していた。
一方の角田裕毅は初日セッションを終えて「まあまあでした」と自身のパフォーマンスを総括した。
「ラップは完璧ではありませんでしたが、1回目のフリー走行と比較すると全体的なパフォーマンスは良くなっていました。また2回目のセッションでは、クルマ、チーム双方ともに更に前に進む事ができました」
陽が刺す日中に行われたFP1では、最終コーナーで前走車のトラフィックに引っかかり、無線を通して不満を爆発させる場面があった。これについて尋ねられた角田裕毅は、笑いながらマスクを手でいじりつつ「(感情的になってしまうことは)僕の最大の弱点なので、いつも心を落ち着かせるよう心がけているのですが…」と返した。
FIA-F2選手権時代の角田裕毅は、特にシーズン序盤はチーム無線で感情をあらわにするシーンが度々見られた。曰く、頭に血が上る事で「集中力が途切れてしまった」との事で反省し、以降は意識的に気をつけているのだという。
角田裕毅は「最初のセッションでは少し感情的になり過ぎてしまいましたが。2回目のセッションでは罵声を飛ばさずに済んだので、その意味で良いステップが踏めたと思います」と微笑んだ。
また、土曜の公式予選での目標については「もちろん、Q3に進む事です」と答え、僚友ガスリーを上回るタイムを残したいと意気込んだ。
「トップ8あるいはトップ7に入ることができれば素晴らしいですね。持てる最大限のパフォーマンスを発揮して、チームメイトに勝つことが一番の目標です」
アルファタウリ・ホンダのフランツ・トスト代表もまた、ヘルムート・マルコと同じ様に角田裕毅に大きな期待を寄せている。
長きに渡って新人ドライバーを見守り続けてきた65歳のオーストリア人マネージャーは「無論、彼はまだ学習段階にある」としながらも「Q3に近い位置に付けていると思うし、決勝レースでもポイントを獲得してくれるだろう」と語った。
F1バーレーングランプリ3回目のフリー走行は日本時間3月27日(土)21時から、公式予選は同24時から1時間に渡ってバーレーン・インターナショナル・サーキットで開催される。