ホンダ、インディ500上位を独占…2冠達成の佐藤琢磨「ホンダの力なくして優勝はなかった」
2020年インディカー・シリーズ第7戦 第104回インディアナポリス500マイルレースでのホンダパワーの優位性は歴然だった。プラクティスを含む全セッションで最速を刻んだホンダの前に、シボレー勢は為す術もなかった。
予選トップ12にはポールポジションのマルコ・アンドレッティ(アンドレッティ・オートスポーツ)を含む11台のホンダエンジン勢が並び、8月23日(日)に行われた800kmを超えるレースでは佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)が2017年大会に続く2度目の優勝を達成。トップ10リザルトの内の8台をホンダ勢が占めた。
最終的な順位結果だけではない。リードラップの90%、180周はホンダエンジン搭載車両であり、ファステストラップとなった223.164mphを刻んだのもホンダ(ジェームズ・ヒンチクリフ、66周目)、ドラフティングを除外したファステストリーダーラップ(221.569mph)もまたホンダ(佐藤琢磨、191周目)だった。
偉大なレジェンドドライバー達に混ざり、史上20人目のインディ500複数回チャンピオンとなった佐藤琢磨は、500マイルの長き闘いを終えて「ホンダパワーがナンバー1です。パワーもリライアビリティー(信頼性)も燃費も凄く良かった。今日はホンダの力なくしては勝てなかったです」と語った。
舞台裏での取り組みの一端を知るポールシッターのアンドレッティは、ホンダの予選パフォーマンスに「驚きはなかった」とした上で、「感動したよ。ハードワークの賜物だ。ここでは馬力が大きな意味を持つ」と付け加えた。
ホンダの速さの秘密はどこにあったのだろうか?
ホンダ・パフォーマンス・デベロップメント(HPD)のテクニカルディレクターを務めるデビッド・サルターズは、エンジンだけでなくエアロやビークルダイナミクス、競合分析など、チームの競争力向上に役立つと思われるあらゆる分野の改善に取り組んできたと説明。更に、テッド・クラウス社長は予選でのアドバンテージについて、ターボ圧が例年より高い事を理由の一つに上げていた。ホンダは新型肺炎の影響による作業制限に上手く対処した。
1911年の初開催から数えて100年以上の歴史を持つインディ500において、ホンダエンジンの勝利は3年ぶり、通算13回目の事だった。
本田技研工業株式会社の八郷隆弘社長は「世界3大レースのひとつであるインディ500で2度目の勝利を挙げ、世界のモータースポーツの歴史に新たな足跡を残すことになった琢磨選手と、チームおよび関係者の方々、そして、琢磨選手を応援してくださっているファンの皆さまに心からの感謝申し上げるとともに、この快挙達成の喜びを分かち合いたいと思います。またこのニュースが、新型コロナウイルス感染拡大の影響が続く世の中にとって明るい話題となることを願います。琢磨選手、本当におめでとう!」とのコメントを寄せた。