メルセデス移籍の可能性があったニコ・ヒュルケンベルグ…ハミルトンではなく
F1のスポーティング・ディレクターを務めるロス・ブラウンは、70周年記念GPでセルジオ・ペレスの代役を務めたニコ・ヒュルケンベルグのパフォーマンスを高く評価すると共に、ミハエル・シューマッハの後任としてメルセデスに移籍し、幾度のタイトルを獲得していた可能性がある事を明かした。
2019年末を以て、ルノーのシートをエステバン・オコンに奪われたヒュルケンベルグは、ペレスが新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に感染した事で急遽、シルバーストンの第2レースに出走。予選では同じマシンを駆るランス・ストロールを上回る予選3番手を獲得し、レース最終盤にタイヤのバイブレーションによって余計なピットストップを強いられ7位に後退するまでは5番手を走行していた。
「ニコ・ヒュルケンベルグにとっては、信じがたいほどのフィジカル的挑戦であっただろう。レース終盤に彼がどれだけの傷を負っていたのかは知らないが、深い淵に突き落とされた人物は、週末を通して素晴らしいパフォーマンスを見せてくれた」とブラウン。
「何年も前の事だがメルセデスの責任者だった時、私は彼と契約する直前だった。もしルイスがメルセデスに加入していなかったらニコが次の選択だったんだ」
「私はずっとニコをドライバーとして非常に尊敬してきた。彼は本当に強いドライバーだ。F1にいるべき人財だ」
ロス・ブラウンはホンダから株式を買い取り「ブラウンGP」の指揮官として2009年のチャンピオンを制した後、メルセデスにチームを売約して「メルセデスF1」のチーム代表に就任。2013年末まで英国ブラックリーのチームを率いていた。
当時ロス・ブラウンは、7度のF1ワールドチャンピオンであるシューマッハに3年の契約延長を打診していたが、42歳となったレジェンドはそれほど長くF1に留まりたいとは思っていなかった。そのためブラウンは、オプションとしてハミルトンに接触。最終的にシューマッハは2度目の引退を表明した。
かつてマクラーレンの秘蔵っ子と称されたハミルトンは、2013年にシューマッハ後任としてメルセデスに移籍。V6ハイブリッド・ターボが導入された2014年以降は、2016年にニコ・ロズベルグに敗れた事を除き、全てのシーズンでチャンピオンを獲得している。