不屈のアレックス・ザナルディ、2度目の手術…悲劇的事故から10日
ハンドバイク競技中の悲劇的な事故から10日後、人工呼吸器に繋がれ薬物誘導による昏睡状態に置かれていたアレックス・ザナルディが2回目の脳神経外科手術を受けた。
53歳の元F1ドライバーは、来年の東京パラリンピックで再び金メダルを獲得すべくイタリア国内ロードレース「Obiettivo tricolore」に参加していたが、6月19日のレースの最中にピエンツァ付近でトラックと衝突。頭部に重度の外傷を負って、シエナのサンタマリア・アッレ・スコッテ病院で緊急手術を受けた。
病院は6月29日(月)夕刻に「2020年6月29日午後6時時点でのアレックス・ザナルディの臨床状態に関する最新情報」と題した声明を発表し、診断および治療評価の一環としてCTスキャンを行った結果、2回目の脳外科的介入が必要と判断し、約2時間半に及ぶ手術を行った事を明らかにした。
手術を終えたザナルディは集中治療室に移送され、再び人工呼吸器に繋がれた。声明はザナルディの容態について「心肺機能と代謝という点では安定しているものの、神経学的には重症」と説明した。次のアップデートは30日夕刻に行われる予定だ。
ザナルディは1990年代にジョーダン、ミナルディ、ロータス、ウィリアムズからF1世界選手権を戦い、1997年と1998年にはCARTで2度シリーズチャンピオンに輝いたものの、2001年にドイツで開催されたアメリカンメモリアルで大クラッシュに見舞われ、両足切断を余儀なくされた。
だが、驚異的な精神力を示して事故から2年も経たないうちにレース活動に復帰すると、今度はハンドサイクリングに転向。2012年のロンドン・パラリンピックと2016年のリオ・パラリンピックで金メダルを獲得するなど、その強靭的なメンタルと圧倒的なバイタリティが尊敬と賞賛を集めている。