レッドブル・ホンダ、F1開幕に向けアルボンが100kmを走破「闘いのマインドセットを取り戻せた」
バルセロナでのプレシーズンテストから早118日。2020年シーズン開幕オーストリアGPを1週間後に控え、チャンピオンシップ制覇を目指すレッドブル・ホンダは6月25日(木)、年に2日間が割り当てられる”フィルミングデイ”の2日目を利用して、英国シルバーストン・サーキットでのテストに臨んだ。
レッドブル・ホンダは3強チームとしては唯一、現行の2020年型マシンをテスト車両として選択した。メルセデスAMGとスクーデリア・フェラーリは、存分にマイレージを稼げる2年落ちの旧車を使ってテストを行ったが、ミルトンキーンズのチームは硬いデモ用タイヤを履かせた今季型「RB16」をコースに持ち込み、100kmの距離制限を越えない範囲内で周回を重ねた。
レーシングポイントと姉妹チームのアルファタウリ・ホンダの2チームもまた、フィルミングデイを利用してレッドブル・リンクでのレースに向けて準備を整えている。伊ファエンツァのチームは24日(水)に、リブランド初年度となる今季型「AT01」だけでなく、旧スクーデリア・トロロッソ時代の「STR13」の2台体制でテストを行った。
この日、RB16のステアリングを握ったのは、地元イギリス出身のアレックス・アルボンだった。モナコ在住のマックス・フェルスタッペンの姿はなかった。英国は現在、海外からの入国者に対して、事前に申告した滞在先における14日間の自己隔離を義務付けている。
「今日はフィルミングデイのためにシルバーストンに来たわけだけど、こうしてホコリを払い落として再びマシンに乗れて良かったよ」クルマを下りたアルボンはこのように述べ、グランプリコースよりも短い2.639kmのナショナルサーキットでの一日を振り返った。
「長いことF1マシンに乗ってなかったけど、5、6周したらすぐに元の感覚を取り戻す事ができた。これに関してはジムでのトレーニングじゃ対応できないからね。そんなに多く走り込めたわけじゃないけど慌ただしかった。今日は本当に暑かったから、自分の体の仕上がり具合を確認するにはもってこいだった」
「みんなと再会できたのも良かった。メルボルンでのイベント以来、僕の方のガレージの連中とは定期的に連絡を取っていたから、そんなに変わった事もなく、前のように意思疎通するのは簡単だった」
ドライバーが腕の錆落としをする傍らでは、チームスタッフ達が新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対策の新たなプロトコルに沿った一連の手順を確認した。メンバーは全員、新型肺炎の検査を受けた後、マスクやフェイスガードといった個人用保護具(PPE)を身に付け、ソーシャルディスタンスという制限がある中で作業に取り組み、開幕戦に向けての準備を進めた。
アルボンは「新しいCOVID-19のプロトコルに慣れることができたのも良かった。かなりスムーズだったと思う。全体としては色々な事を確認できたし、闘いに向けてのマインドセットを取り戻すための良い機会になった」と付け加えて、テストの意義を強調した。
チーム代表のクリスチャン・ホーナーも次のように述べ、アルボンに同意した。
「今日はガレージ内でのプロトコルを確認したり、COVID-19に関する新たな注意事項を守りながらピットストップ練習に取り組んだ。慣れるという点でチーム全体にとって凄く有益だった。今は些か違和感があるが、これは安全を確保する上で極めて大事な事だ」
「オーストリア入りする頃には新しい手順にもすっかり慣れているだろう。今日こうして練習したことで、実際のレースウィークで何をしなければならないのかを全員で理解する事ができた。これは我々のチームばかりでなく、F1に関わる全ての人の安全のために重要なことなのだ」
「今日初めて、マシンに”#WeRaceAsOne“のメッセージを掲載した。F1が主導するこの重要な取り組みには全チームが参加する事になった。非常に素晴らしい事だと思う。我々アストンマーティン・レッドブル・レーシングも全員で全面的にバックアップする」
「アレックスにとっても、自分自身を慣らすために非常に有益な一日になったと言える。彼はまだF1の世界では比較的経験が浅い。ショーカー用タイヤとは言えども100kmを走り込めたわけで、オーストリアGPに向けて役立つ事だろう」
テストを終え、レッドブル・ホンダはホームサーキットであるシュピールベルクへの旅の最終準備に取り掛かっている。来週末にはいよいよ、2020年シーズンのF1世界選手権が開幕する。