フェラーリ、本拠イタリアで新型ウイルスが猛威…予防措置に着手。F1参戦への影響は?
イタリアで新型コロナウイルスによる肺炎が猛威を振るう中、マラネロに本拠を構えるスクーデリア・フェラーリは、感染拡大防止とF1世界選手権をはじめとするモータスポーツ活動への影響を食い止めるために対応策を講じている事を明らかにした。
25日付けの発表によれば、イタリア国内での感染者数は322人に達しており、死亡者は10名に及んでいる。明らかになっている数値としてはいずれも日本より多い。感染者が増加しているロンバルディア州やベネト州などの計12の自治体では隔離政策が取られており、人の出入りが厳しく制限されている。
中でも最も被害が大きいとされる地域の一つであるコドーニョは、フェラーリが本拠地を置くマラネロから約140キロほどしか離れておらず、セリエAなどのイベントや公演の多くが取り止めとなるなど、イタリア国内を巡る状況は悪化の一途辿っている。
流行の拡大を受けてフェラーリは25日「我々はコロナウイルスに対する予防措置を講じている。地元当局の要請に従って、マラネロとモデナのフェラーリ美術館を閉鎖した。また同社は、被災地に居住している従業員や被災地を訪れたことのある従業員の立ち入りを制限した」との談話を発表した。
従業員の移動制限が実施されているものの、フェラーリは「工場見学を含む外部からのすべての訪問並びに、重要性の低い出張のすべてについて、更なる情報が得られるまでは延期とするなど、状況を厳重に監視している。新たな措置が必要と判断された場合には速やかに実施し、これを公表する」としており、本日より3日間の日程で行われる第二回F1プレシーズンテストへの影響は限定的と考えられるが、先行きは暗い。
世界保健機関(WHO)並びに各国の専門家は、コロナウイルスの流行が全世界的な広がりをみせつつあるとの認識で一致しており、パンデミックへの警戒を呼びかけている。日本は既に疫学的リンク(感染経路を辿れるフェーズ)が切れた段階にあるとみられ、今後数週間のうちに万単位の感染者が出ることは避けられない見通しとなりつつあるが、同じことはイタリアにも言える。
スクーデリア・フェラーリ同様に、レッドブルとアルファタウリにパワーユニットを供給するホンダを含めて、F1参戦チーム及び関連企業も対策に乗り出しているが、各国当局が入国制限を発令するなど、状況は楽観視出来ない。イタリアからの出国が制限される状況となれば、フェラーリだけでなくピレリとアルファタウリも少なからず影響を受ける事になる。
中国武漢を発祥とする新型コロナウイルスは26日現在、分かっているだけで全世界38の国と地域に及んでおり、中国を除いた感染者数は1900人に達しようとしている。現時点では中国GPのみが延期決定されているが、全てのグランプリが中止される可能性は決して否定できない。