ホンダF1、第13戦ベルギーGPで最新スペック4エンジンを投入
F1世界選手権にパワーユニットサプライヤーとして参戦する本田技研工業は、2019シーズン第13戦ベルギーGPで、今季パワーユニット「RA619H」の最新型スペック4エンジンを投入する事を明らかにした。今年のF1ベルギーGPは、スパ・フランコルシャンで8月30日(金)に開幕する。
ホンダF1の現場統括責任者を務める田辺豊治テクニカル・ディレクターは週末に先立って次のように述べ、性能を強化した改良版エンジンをトロロッソとレッドブルの各一台に投入する事を明かした。
「今回我々は、パフォーマンスと信頼性両面で向上を図った新仕様のパワーユニット、スペック4をAston Martin Red Bull Racingのアルボン選手と、Red Bull Toro Rosso Hondaのクビアト選手に、金曜日より投入する予定です」
「新PU投入でグリッド降格ペナルティーの対象となりますが、パフォーマンスの改善により今後さらに上位を争う位置でレースができればと思っています」
マックス・フェルスタッペンとピエール・ガスリーの両名は今回は旧型スペック3を使用し、翌戦イタリアGPで新型エンジンに切り替えるものとみられる。独メディアの報道によれば、スペック4は25馬力ものパワーアップが見込まれているといい、メルセデスに匹敵すると予想する向きもある。
伝統のスパ・フランコルシャン・サーキットは1周7,004kmと長く、カレンダー随一の全長を持つ。エンジン全開率の高さに加えて、オー・ルージュに代表される激しい高低差もあり、高いパワーユニット性能が要求される。また全開率が高いためにエネルギーマネジメントも重要で、シーズンの中でも調整の難しい一線となる。
トロロッソにのみ単独供給していた昨年のレースでは、マシンとの相性の悪さが懸念されていたものの、蓋を開ければピエール・ガスリーが殊勲の9位入賞を達成。チャンピオンシップ2ポイントを獲得した。
昨年のベルギー予選では、他車のペナルティーの影響もあって、10番手と11番手という好位置を確保。スタートタイヤを選べる戦略的なメリットを活かし、レ・コームへと至る全開区間でライバルと激しいバトルを展開。同じくロングストレートのあるバクーよりも力強いパフォーマンスを発揮し、パワーユニットとしても進化を印象づけたレースとなった。
今シーズン前半戦終盤に、ポールポジションと優勝2回を達成し、上昇気流に乗るホンダエンジン勢。田辺TDは「シーズン開始から中盤戦に向けてパフォーマンスが向上したことで、ここ数戦に渡ってコンペティティブなレースを展開することができています。ここからさらにパフォーマンスを向上させ、両チームとも良い流れを維持して、後半戦に挑みます」と力強く語った。
なおレッドブル陣営は今回より、ピエール・ガスリーとアレックス・アルボンのシートを交換。レッドブルとスクーデリア・トロロッソは、新しいドライバーラインアップで残り9戦を戦う事になる。田辺TDは「両ドライバーが新たなステージにおいてもベストな結果を残せるように今まで同様、我々も全力でサポートを続けます」と述べた。
F1レギュレーションでは、エンジン投入数をドライバー単位ではなくマシン単位で扱っている。そのため今回のラインナップ変更に伴い、レッドブルでのガスリーのPU使用基数をアルボンが引き継ぎ、逆にトロロッソでのアルボンの使用基数をガスリーが引き継ぐ事になる。