2019年インディカー・シリーズ第12戦アイオワ300決勝スタート直後の様子
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インディカー 第12戦アイオワ決勝:ニューガーデン4勝目、佐藤琢磨は追突され2戦連続リタイヤ

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2019年NTTインディカー・シリーズ第12戦アイオワ300決勝が、現地7月20日土曜にアイオワ・スピードウェイで行われ、チーム・ペンスキーのジョセフ・ニューガーデンが今季4勝目、オーバル2連勝、キャリア通算14勝目を飾った。

2位はチップ・ガナッシのスコット・ディクソン。序盤はラップダウン必至の厳しいレースを強いられていたが、運とチーム力とその腕前を武器に大逆転を果たした。3位にはシュミット・ピーターソン・モータースポーツのジェームズ・ヒンチクリフが食い込んだ。

予選4番グリッドからスタートしたレイホール・レターマン・ラニガン・レーシング(RLL Racing)の佐藤琢磨は、レース終盤に差し掛かろうかというタイミングで、セージ・カラム(Dreyer & Reinbold)に追突されクラッシュ。2戦連続でトラブルのためにトップ5フィニッシュのチャンスを失い、リタイヤを強いられた。

「スタートは良かったのですがマシンバランスに問題がありました」と佐藤琢磨。「そのため、少し早めにストップしなければなりませんでしたが、その戦略判断は上手くいっていました」

「最終的に後ろから追突され、大きなダメージを受けてしまいました。何とかコース上に留まろうと頑張りましたが、それは叶いませんでした。素晴らしい仕事をしてくれたチームの皆と、夜遅くまでスタンドに残ってくれたファンに申し訳なく思っています。本当に残念です」

「あの時、僕の前にはライアン(ハンターレイ)とウィル(パワー)が並走しており、僕は若干アクセルを緩めざるを得ない状況にありました。すべてコントロール出来ていたのですが、残念ながら、僕の後ろにいたマシンはこの状況を把握できていなかったのかもしれません」

舞台となったのは、アイオワ州都デ・モインの西40マイルに位置する全長0.894マイルのショートオーバル。レースは300周、距離にして268マイル(432km)で争われた。雷を伴う記録的な豪雨のために、4時間半遅れで現地夜22時45分にグリーンフラッグ。レース中にも雨による中断を強いられ、現地深夜1時を回ったところでようやくチェッカーフラッグが振られた。

2019年インディカー・シリーズ第12戦決勝前のアイオワ・スピードウェイ
© Indycar、日没前に雨は止んだものの路面は水浸しとなった

オープニングラップではポールシッターのシモン・パジェノーが3番手に後退。ウィル・パワーがトップへ躍り出た。4番グリッドの佐藤琢磨は2台を交わして2番手に浮上するも、ポジションを守りきれず、ニューガーデンとパジェノーに追い抜きを許した。

16周目にセージ・カラムが単独スピン。後方から迫っていたフェリックス・ローゼンクビストと軽く接触し、1回目のイエローコーションとなった。レースは25周目にリスタートを迎えたが、軽い降雨のために51周目に2度目のイエローコーション。55周目にはレッドフラッグが提示され、レースは一時中断となった。

27分間の中断を経てイエロー下で周回が再開されると、各車一斉にピットイン。佐藤琢磨はピット作業でロッシに先行を許し5番手に後退するも、66周目にリスタートを迎えると同時にポジションを挽回。再び4番手の座を取り返した。

その後暫くはペースを維持していたが、タイヤのデグラデーションか、95周を超えたあたりから失速。100周を過ぎたところで一気に3台に抜かれ7番手に後退すると、その後もズルズルとポジションを落とし、12番手まで後退。チームは他車よりも1回多いピット戦略へと切り替え、佐藤琢磨は119周目にピットイン。2ラップダウンの20番手まで順位を下げた。

ニュータイヤによって好ペースを取り戻した佐藤琢磨は、全車2度目のピットストップを終えてアンダーカットに成功。2番手にまで順位を挽回した。レース半分を消化した150周目時点でのトップ同一周回車両はわずかに8台。20秒ショートオーバルでのサバイバルレースは過酷を極めた。

佐藤琢磨は上位フィニッシュのチャンスを掴みつつあったが、残り114周のターン4でセージ・カラムに追突されクラッシュ。3回目のフルコースイエローの原因となった。マシン外観に大きな破損はなかったものの、ディフューザー周りにダメージを負った。

リスタート後も完走を目指し周回を続けるも、ダウンフォースの減少したマシンではコース上に留まる事も難しく、佐藤琢磨はピットアウトから6周後にリタイアを選択した。

残り37周、ピットレーンへの進入違反によってドライブスルーを課せられたウィル・パワーがペナルティを消化し終えた直後、エド・カーペンターがターン2で単独クラッシュ。スティントを引き伸ばしていたスコット・ディクソンが大きなアドバンテージを得て6番手に浮上した。

レースは残り26周でリスタート。新品タイヤのアドバンテージを活かしたディクソンがオーバーテイクショーを披露。だが、この日別次元の速さを示していたニューガーデンまでは届かず、2位でチェッカーフラッグを受けた。

チャンピオンシップ2位につけるアレキサンダー・ロッシは6位。ニューガーデンはこの日の勝利でロッシとのポイント差を29へと広げた。対してランキング5位のパワーと6位の佐藤琢磨はギャップを広げられてしまい、タイトルの望みは、ほぼ失われた。

アイオワ300決勝順位結果

Pos. Start Driver Gap
1 3 ジョセフ・ニューガーデン
Team Penske
–.—-
2 8 スコット・ディクソン
Chip Ganassi
2.8527
3 5 ジェームズ・ヒンチクリフ
Schmidt Peterson
3.3941
4 1 シモン・パジェノー
Team Penske
7.5630
5 19 スペンサー・ピゴット
Ed Carpenter
10.9683
6 6 アレキサンダー・ロッシ
Andretti
12.1308
7 20 ザック・ビーチ
Andretti
17.1267
8 7 グラハム・レイホール
Rahal
1 lap
9 21 セバスチャン・ブルデー
Dale Coyne
1 lap
10 13 トニー・カナーン
AJ Foyt
1 lap
11 10 マーカス・エリクソン
Schmidt Peterson
1 lap
12 12 サンティノ・フェルッチ
Dale Coyne
1 lap
13 16 コナー・デイリー
Andretti
1 lap
14 15 フェリックス・ローゼンクビスト
Chip Ganassi
1 lap
15 2 ウィル・パワー
Team Penske
1 lap
16 22 マテウス・レイスト
AJ Foyt
2 lap
17 9 ライアン・ハンター=レイ
Andretti
2 lap
18 11 コルトン・ハータ
Harding Steinbrenner
24 lap
19 17 エド・カーペンター
Ed Carpenter
38 lap
20 4 佐藤琢磨
Rahal
84 lap
21 18 マルコ・アンドレッティ
Andretti
95 lap
22 14 セージ・カラム
Dreyer & Reinbold
107 lap

2019年シーズンのインディカー・シリーズは、例年通りCS放送のGAORA SPORTSで生放送される。視聴にはスカパーやひかりTVとの契約が必要となる。

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