互いのヘルメットを交換し合った角田裕毅(アルファタウリ)とフェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)、2022年8月27日F1ベルギーGP予選
Courtesy Of Red Bull Content Pool

角田裕毅、レースクラフトの向上はアロンソ研究の賜物? 感銘受けるベテランF1ジャーナリスト

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F1キャリア3年目を迎えた角田裕毅(アルファタウリ)は開幕早々、見事なレースクラフトでベテランF1ジャーナリストを唸らせている。目を見張る上達の理由の一つは2度のF1ワールドチャンピオン、”フェルナンド・アロンソ研究”の賜物なのかもしれない。

プレシーズンでは経験者な新人、ニック・デ・フリースの台頭を予想する声もあったが、蓋を開けてみれば予選、決勝共に新しいチームメイトを圧倒。ビルドアップした肉体もさることながら、2023年の角田裕毅は明らかに一皮むけた様子を見せている。

ジェッダ市街地コースでトラックウォークを行う角田裕毅(アルファタウリ)、2023年3月16日F1サウジアラビアGPCourtesy Of Red Bull Content Pool

ジェッダ市街地コースでトラックウォークを行う角田裕毅(アルファタウリ)、2023年3月16日F1サウジアラビアGP

特に印象的なのは、非力なクルマながらも格上のマシンを持つライバルを徹底的に抑え込むディフェンシブな走りだ。第2戦サウジアラビアGPではハースVF-23を駆るケビン・マグヌッセンを20周近くに渡って弾き返し続けた。

3戦を終えてポイントこそ1点に留まるが、高い一貫性と共にクルマから最大限のパフォーマンスを引き出すという点で角田裕毅はピエール・ガスリーの後任としての役割をキッチリ果たしており、チーム代表を務めるフランツ・トストもその成長ぶりに太鼓判を押している。

サイド・バイ・サイドで10番手を争うケビン・マグヌッセン(ハース)と角田裕毅(アルファタウリ)、2023年3月19日F1サウジアラビアGP決勝レースCourtesy Of Haas

サイド・バイ・サイドで10番手を争うケビン・マグヌッセン(ハース)と角田裕毅(アルファタウリ)、2023年3月19日F1サウジアラビアGP決勝レース

第3戦オーストラリアGP後に収録されたポッドキャスト「F1 Nation」の中で、ジャーナリストで司会のトム・クラークソンは、角田裕毅のクルマのポジショニングにマグヌッセンが感銘を受けたとするエピソードに触れて「興味深いと思ってその事をユーキに聞いてみることにしたんだ」と語り出した。

「私は彼に、F1に参戦して以来、レースクラフトを向上させる事ができたかって聞いたんだ。彼にとっては今年が3年目だね」

「そしたら彼は、そうですねって言ったんだ。そこで、どうやって向上させたのか?って聞いたら、彼は映像を見ているんだって言うんだ。特に2021年のハンガリーGPのね」

「あの時はフェルナンド・アロンソが、自身より遥かに速いメルセデスに乗るルイス・ハミルトンを10周に渡って抑え込んだレースだった」

「彼が言うには兎に角、アロンソのやり方を見て、膨大な学びを得たそうだ」

ハンガロリンクでルイス・ハミルトン(メルセデス)と激しい攻防を繰り広げるフェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)、2021年8月1日F1ハンガリーGPにてCourtesy Of Alpine Racing

ハンガロリンクでルイス・ハミルトン(メルセデス)と激しい攻防を繰り広げるフェルナンド・アロンソ(アルピーヌ)、2021年8月1日F1ハンガリーGPにて

「彼は実際、サウジアラビアに続いてここ(オーストラリア)でもそれを実践してみせた。明らかにね」

「アルファタウリはストレートで最も遅いクルマだけど、彼は何周にも渡ってオスカー・ピアストリを背後に留めてみせた」

「私は本当に感銘を受けた。それもこれも、クルマのポジショニングが全てだと思うんだ」

ドライバーズパレードで同席する角田裕毅(アルファタウリ)とフェルナンド・アロンソ(アストンマーチン)、2022年11月13日F1サンパウロGPCourtesy Of Red Bull Content Pool

ドライバーズパレードで同席する角田裕毅(アルファタウリ)とフェルナンド・アロンソ(アストンマーチン)、2022年11月13日F1サンパウロGP

なお独「Sport1」とのインタビューの中でトストはオーストラリアGPを前に「ユーキは正しい道を歩んでいるとしか言いようがない。彼はあらゆる面で向上している」とした上で、「2025年に彼は遂にレッドブル(昇格)への準備が整うと思う」と述べ、セルジオ・ペレスの後任としてのシニアチーム移籍への期待を示している。