リカルドとの契約を選んだルノーF1、候補に上がっていたオコンとサインツを除外した理由とは?
ダニエル・リカルドのルノー・スポールへの電撃移籍が発表されストーブリーグが加熱する2018年のサマーブレイク。ルノーは何故、既にチームと協業しているカルロス・サインツを維持しなかったのか?また、サインツを同じく若手実力派ドライバーとして高く評価されているエステバン・オコンを引き抜かなかったのだろうか?
マネージング・ディレクターを務めるシリル・アビテブールが明らかにしたところによれば、上記2名は候補リストに名前が上がっていたものの、長期に渡って安定的に雇用できるかどうかが不透明であった点がネックになったのだという。
レッドブルの育成プログラムからF1へとデビューしたリカルドは、「タイトル争いが可能なチーム」を念頭に移籍先を評価。フェラーリとメルセデスのシートがほぼ固まった事からレッドブルに残留するものと思われていたが、8月3日にルノーへの電撃移籍が発表された。
1年のレンタル移籍という形でレッドブルからカルロス・サインツを”借り受けていた”ルノーは、ニコ・ヒュルケンベルグの来季チームメイトを見つける必要があり、サインツの残留以外にもエステバン・オコンら他チームのドライバーを候補として評価していた。
だが、オコンもまたメルセデスの育成下にあるドライバーであり、全ての人事権はシルバーアローが握っている。そのため、仮にオコンを起用したとしてもメルセデスの意向次第でドライバーラインナップが崩壊するリスクを抱える事になる。
© Force India、エステバン・オコンとセルジオ・ペレス
メルセデスとしては潜在的に”敵”となり得るライバルチームの戦力リソースをコントロールしたいと望んだに違いないが、ルノーはチャンピオンシップへの返り咲きを目標に掲げており、体制の不安定さを許容する選択肢などありはしなかった。アビテブールはリカルドの起用について「最善かつ唯一のオプションだった」と明かした。
「ダニエルがドライバーマーケットに出るなど思ってもみなかったから、我々にとってはチャンスだった。トップドライバーが市場に出るような事は数年に一度しかなく、これを逃す手はなかったのだ」
リカルドの移籍は今シーズン最大規模の衝撃ニュースとして受け止められたが、いつの間にかF1界のご意見箱となった1997年のF1ワールドチャンピオン、ジャック・ヴィルヌーヴは、リカルドがマックス・フェルスタッペン中心のチームに留まることは賢い選択ではなかったと考えており、チーム離脱の決断は正しいと考えている。
サインツにはレッドブルへの出戻りと共にマクラーレン入りの噂が上がっており、同郷の大先輩フェルナンド・アロンソとのスペイン人コンビ誕生に期待が寄せられているが、ストフェル・バンドーンを引き合いに出すまでもなく、サインツにとっては憧れのアロンソと組むことでキャリアを棒に振りかねない危うさがある。
サインツはマクラーレンへの移籍について頑なに口を閉ざしているが「あらゆる準備は出来ている」とも語っており、アロンソがチームメイトになる事を厭わない覚悟があると主張。オファーがあった場合にそれを受け入れる可能性がある事を表明している。