角田裕毅、一貫したTOP10争いを可能足らしめる要因とは…アルファタウリ競争力不足にも関わらず
スクーデリア・アルファタウリの2023年型F1マシン「AT04」は、純粋な競争力という点では下から2・3番目といった具合だが、それにもかかわらず角田裕毅は一貫してトップ10を争うパフォーマンスを発揮している。その秘密は何処にあるのか?
開幕6戦を終えてアルファタウリは僅か2ポイントのコンストラクターズ選手権9位と低迷。最下位ウィリアムズとの点差は1ポイントで、当初目標に掲げていた6位につけるマクラーレンとは15点差がついている。
ドライバー | 順位 | ||||||
第1戦 | 第2戦 | 第3戦 | 第4戦 | 第5戦 | 第6戦 | 平均 | |
角田裕毅 | 14 | 16 | 12 | 8 | 17 | 9 | 12.7 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
デ・フリース | 19 | 18 | 15 | 20 | 15 | 12 | 16.5 |
予選結果からも見て取れるように、これまでのところアルファタウリの純粋なスピードは中団後方争い程度のものだ。
レッドブル、アストンマーチン、メルセデス、フェラーリ、アルピーヌがトップ5を占拠する現状において、上位10台に食い込むためにはこの一角を突き崩す必要があるが、角田裕毅は開幕バーレーンGP以降、ブレーキトラブルに見舞われたモナコでさえ、如何なる状況においても10位を懸けた争いに絡み続けてきた。
それは僅かな違いが差を生む熾烈な中団争いにおいて、角田裕毅のドライバーとしての腕と成熟ぶりを証明する事に繋がっている。
一貫したトップ10争いを可能足らしめている要因は何処にあるのか? それは、困難な状況を前に決して悲観することはなく、逆に闘争心を燃やすメンタルの強さに依るところがあるようだ。
F1スペインGPを前に、アルファタウリのマシンは「純粋なスピードという点で、本来であれば決してトップ10に入るものではないとパドックでは予想されています。どうして毎週末に渡ってポイントを獲得したり、トップ10に入ったり、それを争うようなパフォーマンスを引き出せるのですか?」との質問を受けた角田裕毅は次のように答えた。
「ミッドフィールドは本当に接戦です。その事が僕自身のモチベーションを高め、全てを確実にまとめ上げ、クルマからできる限りのパフォーマンスを引き出すという点で大いに役立っています」
また、3年目を迎えてエンジニアとの関係が一層深まった事も、チームとしての対応力の向上、ひいてはクルマから残りのコンマ数秒を絞り出す事に一役買っているようだ。
「アルファタウリに所属して3年になり、エンジニアとは良好な関係を築いていますし、週末を通して同じ方向を向いて仕事をしています」と角田裕毅は語る。
「たとえFP1やFP2で悪いスタートを切ったとしても、状況を好転させるべくクルマの改善のために夜通し作業に取り組んできました」
「時にはギャンブルに打って出なければならない事もありますし、限界を超えてプッシュしなければならない事もあります」
「でも今のところ上手くいっていますし、チームにも満足しています」
今週末のF1スペインGPではモナコで投入されたアップグレードの真価が問われるが、角田裕毅はたとえ「大きな一歩」が踏めなかったとしても「出来る限りクルマから学ぼうと取り組むだけですし、僕としてはいつも通りにやるだけです」と淡々とした様子を見せた。