2018/19WECスーパーシーズンに参戦するマシン
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ハートレーを起用しタイトル防衛に挑むWECトヨタ、ライバル勢を警戒 / 開幕シルバーストン《preview》

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FIA世界耐久選手権(WEC)2019-2020年シーズンが、開幕シルバーストン4時間レースによって遂に開幕を迎える。8月30日(金)に90分間の練習走行セッションが2回、翌31日(土)には練習及び予選が行われ、9月1日(日)の現地正午に決勝レースがスタート。今季は2020年6月13日~14日の最終戦ル・マン24時間レースまで、4大陸を巡る全8戦が行われる。

TOYOTA GAZOO Racingは2018-2019年スーパーシーズンで、ル・マン24時間レース2連覇を含む全8戦中7勝をマーク。シリーズチャンピオンとして、2019-2020年シーズンでのタイトル防衛を目指す。20-21年には新レギュレーションが施行されるため、TS050 HYBRIDにとっては今季4シーズン目が最後のシーズンとなる。

今年のシルバーストン戦は、WEC新時代の幕開けとして、新たに4時間レースとして開催される。大会勝者には、1905年に始まり、タツィオ・ヌヴォラーリやスターリング・モス、グラハム・ヒルといった伝説的ドライバー達が勝ち取ってきた伝統のRAC(英国王立自動車クラブ)ツーリストトロフィーが授与される。

母国レースとなるマイク・コンウェイの駆るTS050 HYBRID 7号車は、昨年と同じ小林可夢偉、ホセ・マリア・ロペスとのトリオでドライブ。対して8号車は、世界チャンピオンに輝いたセバスチャン・ブエミと中嶋一貴のコンビに、離脱したフェルナンド・アロンソの後任として、元トロロッソ・ホンダのブレンドン・ハートレーが加入する。

「マシンに自分の名前が刻まれているのを目にして気分が高まっている」とハートレー。「2018年のF1を終えて以降は、あまりレースには出場していないけど、テストやシミュレーター作業で慌ただしい日々を過ごしてきたし、レース感覚は保っている」

「WECでは、スピード差のあるマシンを処理しなきゃならず、もう一度体でリズムを覚え直す必要はあるけど、準備は万全だ。シルバーストンでのレースが待ちきれないよ」

トヨタにとっては、昨シーズン唯一表彰台の頂点に立てなかったのがシルバーストンだ。1-2フィニッシュを飾ったものの、縁石によって車体下部がダメージを負い、レース後の車体剛性検査で2台共に失格処分が下された。昨年の雪辱を果たすべく、チームは英国伝統のサーキットに挑む事になる。

今季、2台のTS050 HYBRIDは、規約改訂によって速さを増したLMP1ノン・ハイブリッド勢のレベリオンとジネッタの挑戦を受ける。シルバーストンでのTS050 HYBRIDの最低重量は、ノンターボのレベリオンと比較して94kg、ターボエンジンのジネッタより85kg重く、また給油1回あたりの燃料としては、レベリオンは61%、ジネッタは50%も多く許可されており、村田久武チーム代表は「簡単なレースになるとは思っていない」と語った。

7号車を駆る小林可夢偉もまた、村田代表と同じようにライバル勢へと警戒を強めているが、プロローグテストでの結果に手応えを得ているとも付け加えた。

「準備は整っていると思います」と小林可夢偉。「プロローグテストでは多くの周回をこなし、良いパフォーマンスを示せました。ノン・ハイブリッドLMP1勢の競争力は正確にはわかりませんが、接近になると思いますし、僕らにとっても新たな挑戦となるはずです」

「狙うのは当然世界チャンピオンとル・マンでの勝利です。そのためにも、チーム全員が開幕シルバーストンで良いスタートが切れることを望んでいます。自信はあります」