ビザ・キャッシュアップRB F1チーム(Visa Cash App RB)とスクーデリア・アルファタウリのロゴの比較

ビザ・キャッシュアップRB、4年で消えたアルファタウリF1より短命に終わる可能性が浮上

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2024年のF1グリッドに誕生した新生「ビザ・キャッシュアップRB」 F1チームは、前身のスクーデリア・アルファタウリより短命に終わる可能性がある。

角田裕毅とダニエル・リカルドが所属するこのチームをファンやメディアがどう呼ぶのかはまだ分からないが、スポンサーの「ビザ」や「キャッシュアップ」を含む名で呼ぶのは躊躇われる。

何しろ「ビザ・キャッシュアップRB」という名前は2026年シーズン末を以てF1グリッドから消える可能性があるのだ。

このチーム名はレッドブルと米国の決済企業「VISA」との「前例のない複数年契約」の一環として名付けられたものだが、公式発表では肝心の年数は明らかにされなかった。

しかしながら関係者の証言から2024年から2026年までの3年契約である事が判明した。

無論、成功の暁には、つまりVISAが掲げるビジネス目標をチームが達成し、継続することに利があるVISAが判断すれば、2027年以降も「ビザ・キャッシュアップRB」が存続する可能性はある。

だが、当然に契約を更新しない決断が下される可能性はあるわけで、そうなれば2027年シーズンを前に「ビザ・キャッシュアップRB」は崩壊する。

VISAとCash Appの運営企業は全くの別会社だが、「ビザ・キャッシュアップRB」はVISAとの契約によるものとされている。これは契約終了によって「ビザ」だけが抜け「キャッシュアップRB」となる可能性がないという事を意味する。

VISAカード、2007年7月10日creativeCommons John Lambert Pearson

VISAカード、2007年7月10日

前身のアルファタウリは2020年から2023年までの4年間にわたってF1に参戦した。つまり、「ビザ・キャッシュアップRB」は「アルファタウリ」よりも儚い歩みで終わる可能性があるという事だ。

ただ、3年契約という事は「ステイクF1チーム」よりは長くグリッドに留まる事が保証されているという事でもある。ザウバーとオンライン賭博サービスとのタイトルスポンサー契約は、チームとアウディとの戦略的パートナーシップが開始される2026年までの2年間だ。

2026年末を以てVISAとの契約が終了となった場合、チームの運営企業であるレーシング・ブルズ社および、チームを所有するレッドブルGmbHの経営陣は次にどのような手を打つのだろうか?

声高々に謳われた「前例のない複数年契約」が一度も更新できずに終われば、経営陣から広告枠扱いされているという印象が拭えない「RB」F1チームの存在意義はさらに揺らぐ事になりかねない。このような状況は次の冠スポンサー探しが困難なものとなり得る事を意味する。

スポーツにただならぬ情熱を注いできたレッドブルの共同創業者、ディートリッヒ・マテシッツが他界した今、一時は売却について真剣に検討がなされるなど、レッドブルのセカンドチームを巡る状況は大きく変わった。マーケットに売りに出されたとしても驚きはない。

ちなみにF1公式サイトはこのチームを「ビザ・キャッシュアップRB」と呼称するつもりはないようで、参戦チーム一覧ページには「RB」と記されている。

「RB」が運営企業名の「Racing Bulls」の略であれば「レーシング・ブルズ」と記す事も検討したのだが、そうでない事が発覚したため、当サイトは現時点でこのチームを「RB」あるいは「RBフォーミュラ1チーム」と表記する方向で検討している。