ベッテル、亡きラウダの追悼ヘルメットに込めた想い「最後に彼と一緒にモナコを走れたら良いなって」
5月20日の夕刻に70歳で死去したニキ・ラウダを追悼するため、セバスチャン・ベッテルは第6戦モナコGPに、ラウダを追悼する特別なヘルメットを持ち込んだ。赤色を基調として、左側方部に白地の文字で「NIKI LAUDA」を描かれたデザインには、どんな想いが込められているのだろうか?
「ニキに捧げるためのヘルメットを使おうって決めたんだ」とセバスチャン・ベッテル。「一人の人間として、彼が歩んできたキャリアへの尊敬の印として、彼がフェラーリ時代に使っていた最後のヘルメットデザインをベースにデザインしたものなんだ」
「最後に彼と一緒にモナコを走れたら素敵だろうなって思ってね」
ベッテルは昨年、当時闘病生活で苦しんでいたラウダに一通の手紙をしたためた。その時のエピソードを、生前のラウダは次のように語っていた。
「セバスチャンが直筆の手紙を送ってくれたんだ。本当に嬉しかった。ポジティブな言葉が綴られていて、愛情と思いやりに満ちた手紙だった」
「まさか手紙をもらえるなんてね。想像してなかったよ。普通、ドライバーはそんな事はしないからね。彼は人としても素晴らしい男だよ」
惜しまれつつも月曜にこの世を去ったオーストリア出身のレーシングドライバーは、1974年から77年にフェラーリに在籍。5勝、9ポールポジションを獲得した75年にワールドチャンピオンに輝いた。ラウダはキャリアの大部分に渡って、赤色のヘルメットを愛用。引退後も赤いキャップを被り、トレードマークとして親しまれた。
© Mercedez AMG、赤いキャップを被るニキ・ラウダ
ベッテルと同様にフェラーリもまた、かつての友人を偲ぶため、SF90に特別なデカールをあしらった。コックピット脇に手書き風の筆記体で「niki lauda」の文字がデザインされ、その下に黒字でアンダーラインが引かれた。
このステッカーは、1974年から1977年にかけてラウダがドライブしたフェラーリF1マシンに実際に使われていたグラフィックの複製で、黒色のラインは喪に服していることを表現したのだという。
フェラーリで世界タイトルを獲得した1975年、ラウダは初めてモナコウィナーに輝いた。44年前の事であった。