FIA予選後会見に出席したレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペン、2021年6月26日F1シュタイアーマルクGPにて
Courtesy Of Red Bull Content Pool

+14馬力とも…フェルスタッペン、2基目投入による「ホンダエンジン馬力向上説」にウンザリ

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26日のF1シュタイアーマルクGPで後続に大差を付けてキャリア初の2戦連続ポールポジションを獲得したマックス・フェルスタッペンは、RB16Bのストレートでの強大なアドバンテージがホンダのアップグレードによるものとの見方にウンザリしている。

F1参戦ラストイヤーでの選手権制覇を狙うホンダは、第7戦フランスGPでフェルスタッペンを含む3台のマシンに今季2基目となるICE(内燃エンジン)、ターボチャージャー、MGU-K、MGU-H、そして今季3セット目となるエキゾーストを投入。電動化技術のブランディングとして新たに「Honda e:TECHNOLOGY」のネーミングバッジを与えた。

走行距離がかさんでいないフレッシュエンジンを手にしたレッドブル・ホンダ勢は、予選・決勝共にストレートでのトップスピードでメルセデスを凌駕。1-3フィニッシュを決めた。

メルセデス陣営がライバルのストレートでの優位性に関して2基目のPUに言及した事もあり、パドックではホンダに関心が集まった。対するレッドブル・ホンダ陣営は2基目のエンジンによる影響を否定し、薄めのリアウイングによってダウンフォースを削った成果だと強調した。

今シーズンに関しては、信頼性の向上を目的としたものであれば許可を得ての変更が認められているものの、シーズン中にパフォーマンス改良を目的とした変更を加える事は出来ない。ただ、堅牢となればその分だけパワーユニットをより高い出力モードで稼働させる事ができるため、必ずしもパワーアップが不可能というわけではない。

そんなフランスGPから1週間。シュタイアーマルクGPの舞台となるレッドブル・リンクはモンツァに次ぐエンジン全開率の高さを誇り、海抜が700mを超えるため平地と比較して酸素濃度が7%程少なく、ターボチャージャーに高い性能が要求される。それだけに、レッドブル・ホンダ勢はシュタイアーマルクGPでもフィールドを席巻するのではと見られていた。

結局、蓋を開ければフェルスタッペンは2番手バルテリ・ボッタス(メルセデス)にコンマ2秒という大差を付けてポールを獲得。予選後の会見では再び、ホンダエンジンに関する質問が飛んだ。それは以下のようなものだった。

「ブラジル、メキシコ、そしてオーストリア。ホンダエンジンはこれまで、標高の高いサーキットで優勢を誇ってきましたが、今日の結果を受けて、それは今年のエンジンにも受け継がれていると思いますか?」

これは特に2基目の投入に言及したものではなかったが、フェルスタッペンはウンザリした表情を浮かべて次のように答えた。

「僕らが一貫して高地を得意としてきた事は間違いないけど、次回からは僕らが走らせているリアウイングの違いをプリントアウトして全てのジャーナリストに渡すつもりだ。何しろ、1週間の間にこの手の質問を何度も受ける事になるわけだからね」

「僕らがストレートでかなり速い事は明らかだけど、リアウイングを見てみて欲しい」

「確かにホンダは今年に向けて最高の仕事をしてくれたけど、今シーズンの最初のエンジンから今のマシンに搭載されているエンジンに至るまで全ては信頼性と改良の賜物であって、純粋なパワーという点で言えば明確な優位性はない」

冗談を飛ばす時のフェルスタッペンは得てして喋った直後に相手よりも先に自分で笑ってしまう。だが今回は先も後もなく、マスクの下に笑みらしきものは一切なかった。

なお独auto motor und sportは、フランスでの2基目の投入によって従来より強力なモードを使用できるようになった事でホンダはパワーを14馬力引き上げたとの予想を披露。また、エンジンの優位性は新しいターボチャージャーの恩恵によってレッドブル・リンクでより明白になるとのヘルムート・マルコ(レッドブル・レーシングのモータースポーツ・アドバイザー)のコメントを紹介している。

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