フェルスタッペン、”謎”のDRS削減決定に懐疑的「文句を言ったのは1チームだけ」老兵アロンソの”巧みな駆け引き”か
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レッドブル・レーシングのマックス・フェルスタッペンは、安全上の理由から2日目のFP3を前に急きょターン8~9間のDRSゾーンが撤去された事は「ちょっと謎」だとして、統括団体の決定に懐疑的な見方を示した。
F1を統括する国際自動車連盟(FIA)は4月9日(土)のF1オーストラリアGPのフリー走行3を前に「安全上の理由」から4つ目のDRSゾーンを取り除いたと発表した。これは下の画像の区間に設定されていた。
撤去を判断した詳しい理由についてFIAからの説明はない。F1チーム側もセッション20分前になって初めて撤去の事実を知らされたため、ピットは大騒ぎだったようだ。焦るのも無理はない。DRSゾーンはクルマのセットアップに影響を与える。
DRSを使用するとダウンフォースが減少するため高速走行時の車高変化が少なくなる。DRSが使用できなくなればフロアと地面との距離がより接近するため、ポーパシングが悪化する傾向に振れる。
予選2番手に終わったフェルスタッペンにとってDRSゾーンが3箇所より4箇所あった方が良いのは間違いない。逆転優勝に向けてポールシッターのシャルル・ルクレールを追い抜けるかどうかについて見通しを問われたフェルスタッペンは「当然のことだけど、DRSゾーンが1つなくなったために難しくなったのは確かだね」と答えた。
「1チームだけが文句を言っていて、今朝になって撤去されたんだ。僕としてはよく理解できない。だって、それを言うなら例えば、ここよりコーナーが多いジェッダでやる方が理にかなってるわけだから」
「僕としてはDRSを作動させたまま走行することに何の問題もなかった。FIAに、どうしてDRSを撤去したのか聞いてみるべきだろうね。(撤去されなければ)レースの助けになっただろうから残念だよ」
予選3番手からの逆転を狙うチームメイトのセルジオ・ペレスも「ちょっと残念だね」と同意した。
「残っていた方が明日のレースが間違いなくより素晴らしいものになっただろうね。ジェッダは複数コーナを跨いでDRSゾーンが設置されていたから…でもまぁ、僕はこの件を説明する適任ではないと思うよ」
一件はレースディレクターのニールス・ヴィティヒを含めて行われた前日のドライバーズ・ブリーフィングの中で話し合われたもので、アルピーヌのフェルナンド・アロンソが提案したものだと取り沙汰されている。
英Autosportによるとヴィティヒはアロンソの指摘を受け、イベント2日目、FP3開始の2時間前に、当該DRS区間に安全上の問題があるかどうかを問う文書を各チームに送付した。チームには1時間以内に意見を返すよう求めた。結果は5対5で割れ、ヴィティヒはFP3開始を20分後に控えて、ターン8~9間のDRSゾーンを撤去したと通達した。
同メディアは「DRSゾーンが撤去された経緯は控えめに言っても異例で、フェルナンド・アロンソの巧みな駆け引きがアルピーヌを有利に導いたと疑うライバルもいるほどだ」と伝えた。
結果的に、ポーパシングの影響がもともと軽微だったアルピーヌはFP3以降、競争力を上げた。ただしアロンソは予選でポールに手が届きそうな位置まで達しながらも、メカニカルトラブルの影響でクラッシュを喫してノータイム10番手に留まったため、今はDRSゾーンの削減を憂いているかもしれない。