レッドブル・ホンダRB16Bでのタイトル争いと”メルセデス移籍話”に慎重な姿勢貫くフェルスタッペン
確かに昨年も差別用語発言が大きな波紋を呼んだ事は確かだが、兄貴分のダニエル・リカルドがチームを去って以降、マックス・フェルスタッペンは一皮むけた。10代の時よりも明らかに慎重で、将来の事は語らず”今”を語るよう努めているように見える。
2021年シーズンの最大の見所の一つがフェルスタッペン対ルイス・ハミルトンのチャンピオンシップ争いである事に異論を挟むファンは多くない事と思う。パワーユニット開発凍結を前に、V6ハイブリッドの王者足るメルセデスを倒せるかどうかは、F1の歴史を大きく左右する。
フェルスタッペンは今週水曜に行われた英国シルバーストンでの新車「RB16B」のシェイクダウンを終えて、タイトル争いに向けて慎重な姿勢を貫いた。タイトルの可能性について問われたフェルスタッペンは「正直なところ、まだ分からない」と語ったとF1公式サイトが伝えた。
「僕は常に非常に現実的だし、今の段階でそんな事を話しても意味がない。バーレーンに向い、開幕戦の結果を見る必要がある」
「僕はただ、物事を大げさにしたくないんだ。あくまでも控えめに、自分たちの仕事に集中したい。コース外ではなくコース上で話をするべきなんだ」
ただその一方でフェルスタッペンは「メルセデスが今も変わらず優勝候補だという事は間違いないだろうね」と付け加えた。
シェイクダウンはフィルミングデーを使用して行われる。規約は装着タイヤをピレリのデモタイヤに限定しているため、実際のレースカーがどうであるかを判断するのは難しい。
「実際のタイヤのフィーリングは決して感じられないわけで、シェイクダウンの時の感覚を元に何かを判断したりする事はない。単にクルマを何周走らせるという事以外に特別な意味はないんだ。至ってノーマルな感じだったよ。判断を下すのは、正式なタイヤを装着しバーレーンGPがどうなるかを待ってからだ」とフェルスタッペンは語った。
今季のF1は例年とは異なり、恒例のカタロニアではなくバーレーン・インターナショナル・サーキットで3月12日から14日までの3日間に渡ってプレシーズンテストを行い、その2週間後に同じコースでシーズンの開幕を迎える。
レッドブルは今季型「RB16B」に関して徹底的な秘密主義を貫いている。シェイクダウンに際してプレス向けに公開された76枚の画像の中で2021年型マシンの画像は1枚もなかった。だが、分かっている事もある。
今季限りでF1を去るホンダは、撤退前にこれまでの全てのノウハウを投じた新型パワーユニットを投入する。また、トークン制による開発制限が課される中、チームはどのエリアにトークンを投じたのかを明らかにしていないが、リアエンドの変化がその答えを仄めかしている。
これらとは別に、コーナリングスピードの抑制を目的としたルール変更により、レッドブルのみならず全てのチームがマシン後部のフロア形状を変更しているが、フェルスタッペン曰く、その影響は小さくないようだ。
「フロアに関する変更は間違いなく大きい。失われたダウンフォースを全て取り戻せるかどうかが重要になるだろうね。どのチームが最も良い仕事をしたのか、その点は興味深い」
フェルスタッペンと言えば、メルセデスへの移籍だ。史上最多となる8度目のタイトルを目指すハミルトンは今季開幕に先立ってチームとの契約を更新したものの、その期間は僅か1年のみで、レッドブル・ホンダのクリスチャン・ホーナー代表は先週、仮にハミルトンが今季限りでの引退を決めた場合、その後任リストのトップにフェルスタッペンが入るのは間違いないとの予想を口にしていた。
フェルスタッペンとレッドブルとの契約は2023年末まで有効だが、その契約書には特定の状況下で契約を解消し、自由にライバルチームに移籍できる”パフォーマンス条項”が設けられている事が知られている。
この点についてフェルスタッペンは「ルイスがどうするつもりなのか僕には分からないし、僕としては自分の事と今シーズンの事に集中している。成功を収められるようにね。まだ開幕すらしていないんだから、今の段階でそんな事考えちゃいないよ」と語った。