マックス・フェルスタッペンとセバスチャン・ベッテル
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燻るフェルスタッペン移籍の噂…浮上するベッテルのレッドブル復帰

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サマーブレイクを前に、2020年シーズンに向けての移籍話が盛り上がりを見せている。例年、次のシーズンに向けての動きが本格化するのは夏休み。8月4日に決勝を迎えるハンガリーGPの閉幕と共に、F1サーカスは3週間に渡る束の間の休息へと突入。これが一つの契機となる。

ハンガロリンクでのレースまでは後3戦を残しているが、シリーシーズンは既に開幕している。パドックでは、エステバン・オコンがニコ・ヒュルケンベルグに代わってルノーでF1復帰を果たすと言った将来についての憶測が囁かれ、これと合わせてトップドライバーに関する噂も加速し始めている。

フェルスタッペンの跳馬移籍の可能性

レッドブル・リンクのコース上でバトルするフェラーリのセバスチャン・ベッテルとレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペン、F1オーストリアGP決勝レースにて
© Getty Images / Red Bull Content Pool、オーストラリアGPでやり合うフェルスタッペンとベッテル

中でも最も注目度が高いのがレッドブル・ホンダのマックス・フェルスタッペンだ。オーストリアGPのウィナーは2020年末までチームと契約を結んでいるが、その契約には所謂パフォーマンス条項が存在しており、レッドブルが競争力あるマシンを提供できない場合は途中解除する事が可能とされ、注目を集めている。

その条項の一つは、ハンガリーまでの前半戦で少なくとも1勝出来ない場合、他チームとの交渉権が与えられるものだとみられているが、フェルスタッペンはレッドブル・リンクで開催された先日のオーストリアGPで優勝。今季限りでミルトンキーンズを離れる可能性は減少しているものの、依然として話題は尽きない。

候補として挙がっているのはスクーデリア・フェラーリとメルセデスだが、フェルスタッペンの移籍の可能性について問われたマッティア・ビノット代表は「我々は二人のドライバーと契約を結んでおり、それに非常に満足している。来年のラインナップは決定しており変更する理由はない」と述べ、2020年もセバスチャン・ベッテルとシャルル・ルクレールが跳馬を駆ると主張し、可能性を除外している。

だがその一方で、ベッテルが今季限りでフェラーリを去るとの噂も絶えない。

ベッテル古巣復帰の可能性

フェラーリのセバスチャン・ベッテルと会話するレッドブル・レーシングのモータースポーツ・アドバイザーを務めるヘルムート・マルコ、2018年F1中国GPにて
© Getty Images / Red Bull Content Pool、レッドブルのヘルムート・マルコと会話するベッテル

ダニエル・リカルドの母国オーストラリア紙AutoActionは、ベッテルが今季限りでF1を引退する場合に備えて、マラネロは来季候補者の選定を進めており、そのリストの最上部にはリカルドの名があると報じている。リカルドは昨年、フェラーリとメルセデスへの移籍を希望していたがご縁なく、レッドブルからルノーへと移籍した。

ベッテル本人は度々引退の可能性を否定しているが、4度のF1ワールドチャンピオンにまつわる噂はもう一つある。レッドブルへの復帰だ。フェルスタッペンの動向如何にかかわらず、古巣のシートは一つ空いている。

フェルスタッペンが3強チームの一角に恥じない活躍を示す一方で、移籍初年度のピエール・ガスリーは中団チームに脅かされる場面が目立ち、チームのコンストラクター2位の目標に全く貢献できていない。首脳陣は今季中のガスリー更迭の可能性を否定しているが、このままの状況が続けば来季レッドブルのシートにガスリーが座る姿を想像するのは難しい。

ベッテルとレッドブルは2010年から2013年までの4年連続でタイトルを獲得。その後ベッテルはフェラーリに新天地を求めたが、今もまだレッドブルとの密接な関係を維持し続けている。

母国レースでの勝利を手に、Servus TVのインタビューに臨んだクリスチャン・ホーナー代表は、ベッテル再獲得の可能性について問われると「彼との間には友情とリスペクトがある」と答えるに留め、含みをもたせた。

「我々は彼と共に4つの世界選手権タイトルと数々の勝利を打ち立ててきたし、レッドブルのF1初優勝をもたらしてくれたのも彼だ。だからこそ我々は今もなおセバスチャンと特別な関係を持っている」

「彼は現在フェラーリでステアリングを握っているが、これまでよりも頻繁に我々のところに顔を出し、メカニックの連中と会っており、そのほとんどの顔を知っている」

「彼は今も我々のチームの友人だ。彼はレッドブル・リンクでの我々の結果にとても幸せそうだった。我々は互いに尊重し、その間には友情がある」

幼少から憧れ続けた跳馬に籍を移したまでは良かったが、メルセデスとのマシン性能差は大きく、レース戦略でも失策が目立ち、また、マネジメント層が数年おきにシャッフルされるなど、今のフェラーリはミハエル・シューマッハが君臨した黄金期とは異なり、一貫したパフォーマンスがない。

ボッタス、メルセデス残留の可能性

2019年F1スペインGP予選でフロントローを独占したメルセデスのバルテリ・ボッタスとルイス・ハミルトン
© Mercedes、スペインGP予選でフロントローを独占したボッタスとハミルトン

ハイブリッド時代の絶対王者シルバーアローのシート状況はどうなっているのか?ルイス・ハミルトンは2020年末までの契約があるが、そのチームメイトであるバルテリ・ボッタスは今季限り。チャンピオンチームの来年のラインナップは決定していない。マーケットが動くとすれば、ここが発火点になる可能性が高い。

メルセデスはボッタスとの契約更新優先権を有していたが、期限となる6月30日までにこれを行使しなかったため、ボッタスは7月1日付でフリーエージェントとなったと見られている。状況は流動的だ。

現時点で明らかになっているだけで、メルセデスは過去これまでに2度フェルスタッペンの獲得に動いている。しかしながらトト・ウォルフ代表は、2020年にラインナップを変更する計画はないとしており、現時点ではフェルスタッペンとは交渉していないと述べている。

他方ハミルトンは「チームは僕とバルテリ(ボッタス)にかなり満足してると思う」と語り、ボッタスの残留の可能性が高いとの見解を示す一方で「マックスが機会を伺っている事は知っている。どうなるかは僕には分からないけど、もしそうなれば(メルセデスに移籍)素晴らしいことだろうね。僕はチームメイトが誰だろうと(打ち破る自信があるから)構わない」と述べ、思わせぶりな態度を取っている。

仮にボッタスが放出される事になれば、フェルスタッペンが腰を上げる十分な理由になるだろう。そしてフェルスタッペンの席が空くことになれば、ジュニアチームに経験豊富な人材が枯渇しているレッドブルが、勝手知ったるベッテルに助けを求める姿はイメージしやすい。