フェラーリのカルロス・サインツとシャルル・ルクレール、2023年7月8日F1イギリスGP
Courtesy Of Ferrari S.p.A.

物議のオーダー無視、問題視するルクレールと紳士協定を持ち出すサインツ

  • Published:

7月8日(土)のF1第11戦イギリスGP予選Q1では、チームオーダーを巡ってフェラーリ内部でひと悶着があった。カルロス・サインツは取り決めを無視してシャルル・ルクレールを追い抜きフライングラップを開始した。

結果を左右し得るトラックポジションに関しては一般的に、どちらのドライバーが先にガレージを出るかを交互に変更し、アタック順に不公平が生じないようチームが管理している。

今回はルクレールに優先権があったが、サインツはアウトラップ終盤のターン16でルクレールをパス。先に計測ラップを開始した。ルクレールは思わず「ナイスだカルロス。良いオーバーテイクだ」と皮肉った。

一方のサインツはタイヤの温度低下を理由に、この場面でオーダーを守れというのは「フェアじゃない」と主張し、暫定ポジションを理由に自身の方がノックアウトの可能性が高いと訴えていた。

最終ラップ前の赤旗中断時、ルクレールは暫定3番手、サインツは4番手につけていた。通常であれば楽に突破できそうなものだが、この間に路面が大幅に改善した事でタイムシートは事実上の白紙に戻された。

結果的にはルクレールは2番手、サインツは12番手でQ2突破を果たして最終Q3にまで駒を進め、前者は4番グリッド、後者は5番グリッドを確保した。

予選を経てルクレールは、サインツとの一件について「結果には影響なかったから大した事じゃない」としつつも、「理想的な事じゃないから、話し合う事になる」と振り返った。

「ステアリングを握っている最中にアドレナリンが出ているのは明らかだし、あの時点では上手く乗り切れるかどうか分からなかったのも事実だけど、彼の無線メッセージは全く要領を得ていなかった」

一方のサインツは、ルクレールに優先権があった事を認めつつも「チェッカーフラッグが迫っていて、Q1で敗退するかなりのプレッシャーがあった」として、ルクレールを含めた最終セクションでの渋滞を暫くは我慢して待っていたものの「ある時点で行くしかなかった」と振り返った。

「そうしなければラップを開始できなかっただろう」

フェラーリ勢が最終ラップに向けてアウトラップを走っていた際、ターン16付近には彼らを含めて7台近くが列を作っていた。

サインツは「問題は後ろの連中が僕らを追い抜いた事にある」と述べ、いわゆる紳士協定が破られたために、チームメイトを追い抜かざるを得ない状況に追いやられたのだと主張した。

F1では予選フライングラップの開始を前に、順番を守って互いを追い抜かないとする紳士協定が存在しているが、当然、レギュレーションではないため拘束力はなく、しばしば物議の要因となっている。


2023年F1イギリスGP予選ではマックス・フェルスタッペン(レッドブル)がポールポジションを獲得。2番手にランド・ノリス、3番手にオスカー・ピアストリが続き、マクラーレンが地元ファン喝采の好成績を収めた。

決勝レースは日本時間7月9日(日)23時にフォーメーションラップが開始され、1周5891mのシルバーストン・サーキットを52周する事でチャンピオンシップを争う。レースの模様はDAZNフジテレビNEXTで生配信・生中継される。

F1イギリスGP特集