チームメイトのアントニオ・ジョビナッツィの背後につくアルファロメオのキミ・ライコネン、2021年10月10日F1トルコGP決勝レースにて
Courtesy Of Alfa Romeo Racing

ジョビナッツィがチームオーダー無視…ライコネン、F1トルコGP入賞の”絶好のチャンス”逃す

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アントニオ・ジョビナッツィがチームオーダーを無視した事でアルファロメオはF1トルコGPで入賞の好機を逃した。ジョビナッツィがチームの意向に従っていれば、10位でフィニッシュしたのはエステバン・オコン(アルピーヌ)ではなくキミ・ライコネンであった可能性が極めて高い。

50周目に全体5番手となる1分32秒586の自己ファステストを刻むなど、37周目に新品のインターミディエイトに履き替えた2007年のF1ワールドチャンピオンの終盤のペースは強烈だった。

第2スティントにおけるジョビナッツィとの平均ラップタイム差は1秒066に達していた。また、ノンストップで走り切ったオコンとの37周目以降の平均タイム差は2秒285と強大だった。

レースエンジニアのヨーン・ベッカーから52・53周目にライコネンを前に行かせるよう指示されたが、ジョビナッツィは「これからプッシュするから」として2度に渡ってポジションを譲る事を拒否した。

チームはライコネンが刻んだ1分32秒5で周回するよう無線で伝えた。ジョビナッツィはタイヤケアのために自重していたターン8を攻めペースを上げたものの、54周目のラップタイムは1分33秒165と参考タイムには届かなかった。ライコネンはチームメイトの後方で待ち続けた。

結局ジョビナッツィは、タイヤが限界にまで達していたオコンの後方5秒の位置でファイナルラップに入り、0.755秒差の11位でフィニッシュした。ジョビナッツィはチームにもっと早い段階で攻めろと言うべきだったと不満を漏らした。

ライコネンはチーム内の問題を公にする事を好まずレース後のインタビューで多くを語らなかったが、レースエンジニアのジュリアン・サイモン=ショータンとのチーム無線の中で「もう少し早く(入れ替えを)検討していれば、オコンを捕まえられたかもしれない」と語っていた。

なおライコネンはオコンの5秒後方でフィニッシュしているが、これは最終ラップのターン12で大きく膨らみ、リードラップを走るマックス・フェルスタッペンに追い抜かれてしまった事などが理由だった。

アルファロメオのキミ・ライコネンのレースエンジニアのジュリアン・サイモン=ショータン、2021年10月10日F1トルコGP決勝レースにてCourtesy Of Alfa Romeo Racing

アルファロメオのキミ・ライコネンのレースエンジニアのジュリアン・サイモン=ショータン、2021年10月10日F1トルコGP決勝レースにて

早々に順位を入れ替えていれば、アルファロメオがチャンピオンシップでの得点を加算した可能性は控えめに言ってもかなり高い。ポイント獲得云々を差し引いても好機を逃したのは事実で、チームが失望するのも無理はない。

The Raceによると、アルファロメオのトラックサイド・エンジニアリング部門を率いるシェビ・プジョラーは「チームにとって、あれは理想的ではなかった」と語った。

「なぜあの時、入れ替えられなかったのかよく分からない。最終的には状況に応じて(ライコネンとジョビナッツィの)ポジションを元に戻せたというのに」

「我々としてはポイントを獲得する事が重要だった。当時のキミのペースは力強かった」

今季限りでの引退を表明しているライコネンはこれまでに計6ポイントを稼ぎドライバーズランキング17位につけている。一方、シート喪失が濃厚と見られているジョビナッツィは獲得1ポイントで同18位と遅れを取っている。

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