F1:ベッテル以外にもう一人…キミ・ライコネンの知られざる友人
ウィットに富んだ率直な物言いがファンに大人気のキミ・ライコネンはあまり多くを語る事を良しとせず、レースの週末に和気あいあいと他のドライバーと会話する姿を見せることは殆どない。セバスチャン・ベッテルを除いては。
バトミントン仲間であり、フェラーリ時代の同僚でもある4度のF1ワールドチャンピオンとの仲は公然の秘密であり、ライコネンは地元フィンランドの他に、ベッテルの住まいの近く、つまりスイスにも住居を構えている。
© Ferrari S.p.A. / 2018年F1イギリスGPで表彰台に上がり握手するフェラーリのキミ・ライコネンとセバスチャン・ベッテル
逆に言えば、ベッテル以外のF1ドライバーとの”浮いた話”はなく、ライコネンのF1での交友関係は謎に包まれているが、アイスマンはこの程、伊紙コリエーレ・デラ・セラとのインタビューの中で、ベッテル以外に友達と呼べるドライバーがF1にもう一人だけいる事を明かした。
世界の頂点を狙う野心むき出しの猛者共が集まるF1サーカス。他のドライバーと友人関係になることは可能なのだろうか? こう問われたライコネンは「セバスチャン(ベッテル)とアントニオ(ジョヴィナッツィ)は僕の友達だ。彼らを除けば他にはあまりいない」と答えた。
若きイタリア人ドライバーにとって、2019年は右も左も分からない初のフル参戦シーズンだった。「彼は自分から手を差し伸べるようなタイプでも、おしゃべりなタイプでもないから、僕の方から彼に会いに行っていた。行く度に質問をするんだけど、毎回ちゃんと答えてくれて本当に助けられた」ジョビナッツィは以前、伊Sky Sportsのインタビューに対して、こう答えていた。存外、ライコネンは頼られたい性格なのかもしれない。
© Alfa Romeo Racing
他のドライバー達と同じ様に、新型肺炎のパンデミックのために臨時休業中のライコネンは現在、スイスではなくフィンランドの大邸宅で家族と共に暮らしている。森の中に私有のモトクロスコースもあるため、40歳のフィンランド人ドライバーにとって隔離は暇を意味しない。
「至って普通の生活さ。日々はあっという間に過ぎていく」とライコネンは語る。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響でカレンダーは凍結された。結果的に多忙な日々から開放されたライコネンは、妻のミント、そしてロビンとリアンナという二人の子供達と一緒に過ごす時間を楽しんでいる。
そんなわけで、シャルル・ルクレールら7名の現役ドライバーが参加しているF1公式シムレースイベントには一切目もくれない。ライコネンは「(バーチャルレースは)気にしていない。僕は実戦が始まるのを待つよ」と語る。eスポーツに目覚める事はなさそうだ。
一時期はF1を離れラリーに傾倒していたライコネンだが、これまでに通算312戦を戦っており、ルーベンス・バリチェロが持つF1史上歴代最多記録に後10戦と迫っている。ライコネンの契約は今季末までとなっており、今シーズンが10戦以下に終われば記録更新の望みが絶たれかねないが、アイスマンはこれまで以上に高いモチベーションに溢れている。
いつまでF1を続けたいか?と問われたライコネンは「楽しみとやる気が続く限りだ。今の僕はこれまで以上にやる気に満ちている」と返した。COVID-19による混乱がキャリアに与える影響については「特に何も変わっていない。シーズンの始まりと終わりの見通しがつくまで待ってみよう。どこかのタイミングで結論を出すつもりだ」と答えた。