角田裕毅「他より5秒速かったのに…」首位を視野も赤旗直撃、終盤は一転 ”アルピーヌ防衛ペース”なく
2024年のF1サンパウロGPは週末を通して雨に翻弄された。角田裕毅はキャリアベストの予選3番手を獲得し、レースでもエステバン・オコン(アルピーヌ)を退け序盤に3番手を守り抜き、一時はリードも視野に入れたが、結果的には赤旗に泣き、RBはコンストラクターズ選手権争いでアルピーヌに逆転された。
予選は当初、11月2日(土)の午後に予定されていたが、豪雨による再三のディレイを経て日曜日への延期が決まり、Q1は当初の予定より16時間半遅れでスタートした。予選がレースと同日に開催されるのはF1史上6回目のことだった。
これにより各チームは早朝4時起きを強いられた。
「エスプレッソを飲むのが日課なのですが、ゆっくりする時間がなくて、急いで飲み干さなければならず、気持ちの良い朝ではありませんでした」と角田裕毅は振り返った。
「それでもレースの最初のスティントはかなり上手くいき、3番手をキープできました。その後、エキストリームタイヤに履き替えました。この判断は正しかったのですが、赤旗が出たことで、僕らのアドバンテージは消えてしまいました」
「当時の路面にこのタイヤはすごく合って、多分、他のクルマより5秒速かったと思うのですが、ご存知のように赤旗が振られてしまい、兎に角、運がありませんでした」
土砂降りがインテルラゴスを襲ったのは28周目だった。各車のラップタイムは一気に、25秒近くも低下した。
その28周目に角田裕毅は、他車がインターミディエイトを選ぶ中、フルウェット・タイヤに交換。アウトラップのセクター3だけで、当時ラップをリードしていたオコンを2.837秒上回るタイムを刻んだ。
しかしながら、雨を理由として30周目にセーフティーカー(SC)が導入されると、32周目にフランコ・コラピント(ウィリアムズ)がクラッシュして赤旗が振られた。レースが中断されなければ、角田裕毅は数周でトップを奪っていた可能性もある。
結果的には、豪雨到来にも拘らず赤旗が振られる可能性を念頭に、意図的にステイアウトしたアルピーヌ勢とマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が表彰台に上がった。
インテルラゴス・サーキットは本大会に先立ち、ピットレーンを含めて路面が全面的に再舗装された。高圧洗浄が施されたが、舗装後の表面には油が浮き、濡れるとグリップが著しく低下する傾向がある。
「本当に大変でした。できるだけ冷静に、集中するように努めました。雨が激しく降っている時は、まるで水の上を走っているような、浮いているような感じでした」と角田裕毅は語った。
赤旗からのリスタートを経ると、レース序盤にオコンを退け続けた際のペースは失われた。
「インターに履き替えた最初の方は、少し苦戦しました。理由はよく分かりませんが、他のクルマがかなり速かったんです。特にアルピーヌですね。彼らのクルマはレースカーとして本当に速かったです」と角田裕毅は説明した。
「最初のスティントで僕がアルピーヌを抑えられたのは、多分、クリーンエアのおかげだと思います。(自身を追い抜いて)クリーンエアを得たアルピーヌは飛ぶような速さでした」
「残念ながら、ピエール(ガスリー)は少しばかりの運を得て3位表彰台に上がり、アルピーヌはコンストラクターズ選手権で6位に浮上し、僕らは追い抜かれてしまいましたが、次はやり返します」
2024年F1第21戦サンパウロGPでは、17番グリッドからスタートしたマックス・フェルスタッペン(レッドブル)が逆転優勝を飾り、2位にエステバン・オコン、3位にピエール・ガスリーが続き、アルピーヌがW表彰台に上がる結果となった。
ラスベガス市街地コースを舞台とする次戦ラスベガスGPは、11月21日のフリー走行1で幕を開ける。