ピエール・ガスリーとダニール・クビアトに囲まれスピーチするフランツ・トスト代表、2020年型F1マシンAT01発表イベントにてcopyright Getty Images / Red Bull Content Pool

チーム名変更の影響、レッドブルとの協力関係、目標…トスト代表、新生アルファタウリを語る

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ホンダ製F1パワーユニットを積む3世代目のマシン「AT01」が遂に発表された。14年に渡る「スクーデリア・トロロッソ」としての歴史に終止符を打ち、装いを新たにしたアルファタウリだが、チーム名称の変更がチームに与える影響はないのだろうか? フランツ・トスト代表は次のように説明する。

「レーストラックでのF1チームとしての運営のあり方や、我々のファクトリーであるファエンツァとバイチェスターに対しての影響はないが、名前もカラーリングも新しくなったわけで、外部に対する見え方という点では非常に大きな違いがある」

「アルファタウリは、ファッションと機能性の融合を目指しファッション業界に新たな道を切り開こうとしているレッドブルが設立したプレミアムファッションブランドだ。考え抜かれたデザインと上質な素材、そしてテキスタイルの革新性が融合している」

「おかげで我々は、見た目も良く最高に着心地の良いチームウェアを提供してくれるサポーターを得る事になった。我々は同じ野望を共有しているし、共に成長したいと願っている。これは大きなチャンスだ」

アルファタウリの2020春夏コレクションのファッションショー
AT01の発表イベントでは、アルファタウリの2020春夏コレクションが披露された

そもそもトロロッソというチームは、主に若手ドライバーの育成機関としての役割を引き受けることでシニアチームのレッドブルを支援するために生み出されたわけだが、規約変更によって独自シャシーの設計を強いられて以降、シーズンを経る毎にチャンピオンシップでの存在感を示してきた。フランツ・トスト代表は次に何を期待しているのか?

「レッドブルが2005年にミナルディを買収してスクーデリア・トロ・ロッソを設立して以来、チームは現在のレベルに到達するまでに多くのことを成し遂げてきた。2019年は2つの表彰台を獲得し、コンストラクターズチャンピオンシップでは6位を獲得した。2008年以来最高のシーズンだった」とフランツ・トスト代表は語る。

「これまで成し遂げてきた内容については満足しているが、今や我々は技術面でもレース週末のマネジメントでも素晴らしい進歩を遂げており、更なる高みを掴みたいと思っている」

レッドブルRB14とトロロッソ・ホンダSTR13
レッドブルRB14とトロロッソ・ホンダSTR13

昨年のトロロッソ・ホンダが見せた印象的な競争力の要因の一つはレッドブルとの技術提携だ。ハース=フェラーリ型に似た協力体制を築いた事で、昨年型「STR14」には、その前年のレッドブルF1マシン「RB14」が使用していたコンポーネントが多数流用されていた。

フランツ・トストは「ミルトンキーンズのレッドブル・テクノロジー社とは今後も緊密に協力していく」と述べ、技術面でのシナジー効果の大きさを強調する。

「今年は油圧システムと前後サスペンション、そしてギアボックスの供給を受けている。この協力関係は昨年も非常に上手くいった。エンジニアリングのレベルが非常に高く、彼らからの提供パーツによってマシンの信頼性は高まった」

「このシナジーによって、ファエンツァとバイチェスターのエンジニア達はより細かなディティールに集中して取り組む事が出来る。実際、供給を受けた事で状況が変化したし、パフォーマンスの向上という点でも成果を上げる事が出来た」

「他のチームと供給可能なパーツ数についてのスポーティングレギュレーション上の記載に若干変更が加えられたため、例えば昨年であればシェアできたブレーキダクトのような幾つかのパーツについては、社内で製造しなければならなくなってしまった。つまり、バイチェスターとファエンツァの両方で余計な仕事が増えてしまったわけだが、私はテクニカルグループのスタッフ達が今後も性能と信頼性の改良を続けてくれると信じている」

AT01 技術諸元とスペック

ピエール・ガスリーとダニール・クビアト、2020年型F1マシンAT01発表イベントにて
ピエール・ガスリーとダニール・クビアト、2020年型F1マシンAT01発表イベントにて

昨シーズンは大手自動車部品メーカーの資本を持つワークスルノーを脅かす結果を残しただけに、フランツ・トスト代表は今季の目標を「コンストラクター5位以内」と高らかに謳う。しかしながら2020年というシーズンは歴史的にみてもかなり特異であり、ターゲット達成のハードルは高い。

フランツ・トスト代表は「2021年に新しいレギュレーションが施行されるため、今シーズンはコンセプトの異なる2台のマシンを並行開発しなければならず、その意味において全てのチームは非常に特殊で難しい課題に直面している」と説明する。

「我々のような小規模チームにとっては、リソースと人員の両面において適切なバランスを見出す必要がある。今年のマシンであるAT01の開発をどこまで進め、その後継機にあたる2021年のマシンにどれだけのリソースを割くべきかという事についてね」

「2021年という年は、マシン設計に関わる技術的な規制が大きく変更されるだけでなく、F1そのものが急激に変化するため、新しい時代の到来を告げるシーズンとなるが、だからといって手を抜いて良いわけではない。これまでと同じように、混戦のミッドフィールドで生まれ得るあらゆるチャンスを捉えるべく、全てのレースでできるだけミスをしないようにしつつ、徹底的に戦わねばならないのだ」

「一貫性というものはチームにとって重要な要素だが、我々のチームは今年もピエール・ガスリーとダニール・クビアトをラインナップに据えている。クビアトは昨シーズンを経て、出走回数という点で我々のチームから出走したドライバーの歴代1位に輝いた。2人のドライバーは経験豊富なだけでなく闘志を燃やし、自身が速いことを証明してきた」

未だ新しい商業規定の中身が決まらず、先行き不透明感が漂うF1だが、フランツ・トスト代表の胸にあるのは悲観ではなく興奮だ。先月64歳の誕生日を迎えたオーストリア人の指揮官は「確かに名前は新しいが、チームの中身は同じ。今シーズンが本当に楽しみだ!」と付け加えた。