ホンダ、2026年F1復帰のタイムリミット…具体案なく刻々迫る
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2023年F1シーズンの開幕の地、バーレーンにはホンダの倉石誠司取締役会長やHRC(ホンダ・レーシング)の渡辺康治社長、4月に定年退職される浅木泰昭氏の姿があった。
「Honda RBPT」へのエンジン名称変更を含めたレッドブルへの表敬のための訪問か、あるいは3年後のF1復帰を見据えた他チームとの非公式会談のための中東入りか。その両方か。
2026年まで3年を切ってなお、ホンダは決断を下していない。F1プレゼンテーターのローレンス・バレットによると渡辺社長はバーレーンで「F1復帰の具体的なプランはありません」と語った。
「ルールについてもう少し見たいと思っていますし、(復帰するかどうかを決める前に)ホンダ内部で話し合うための時間がもっと必要です」
悠長にしている時間はない。タイムリミットまで後数ヶ月。具体的な計画が定まらないまま、時間は刻々と過ぎていく。
英国ミルトンキーンズの旧ホンダF1拠点、HRD-UKは撤退と同時に閉鎖され、そこでERSやESの開発に携わっていたスタッフの殆どはレッドブル・パワートレインズに移った。
また、カーボンニュートラル実現のために、日本のHRD-Sakuraにいた多くのエンジニアもF1から離れ、他部署で別の仕事に取り組んでいるものと見られる。
高いレベルの競争力を以てカムバックするためには迅速に体制を再構築する必要がある。既に3年を切っている現状において、このハードルは過小評価できない。
当然、ホンダもその事は重々承知しており、渡辺社長は「シーズン終了時」までに決断を下す必要があるとの認識を示した。
非公式ながらも複数のチームが既にホンダに接触している。
マクラーレンとウィリアムズは次世代パワーユニットの導入を機にサプライヤーを変更する可能性について検討している事を認めており、前者はホンダと話し合いの場を持ったと考えられている。
アストンマーチンに関しては、メルセデスと資本関係にあるためPU切り替えのハードルは他のどのチームより高いものの、上昇気流に乗る今、タイトル争いへの参加を標榜するローレンス・ストロール会長の野心を思えば、ホンダを搭載してのワークスチーム化が議題に上がらないとは考えにくい。
原則として復帰の決定は提携先チームの内定が前提となるだろうが、渡辺社長はパートナーチームが未定の状態で復帰を決定しなければならない状況もあり得ると認めている。
チーム側との非公式の話し合いについて渡辺社長は「F1ファミリーですので互いに話をするのは至って普通のことです。潜在的な取引条件の詳細については何も話していません」と語った。