スタッフと話すウィリアムズのチーム代表を務めるジェームズ・ヴァウルズ、2023年3月2日F1バーレーンGP
Courtesy Of Williams

ウィリアムズ、2026年F1エンジン切替を検討…ホンダとの提携の可能性は如何ほどか

  • Published:

メルセデス製F1パワーユニット(PU)勢の中でサプライヤー変更を視野に入れているのはマクラーレンだけではない。2026年の次世代PU導入に向けてウィリアムズは、2023年中に決定を下す意向だ。

PUの電動化比率が引き上げられる2026年に向けてはフェラーリ、メルセデス、アルピーヌ(ルノー)、アウディ、レッドブル・フォード、ホンダの6メーカーが国際自動車連盟(FIA)にサプライヤー登録を済ませている。

メルセデスのF1パワーユニット開発製造拠点である英国ブリックスワースに位置するメルセデスAMG-HPPの外観Courtesy Of Daimler AG

メルセデスのF1パワーユニット開発製造拠点である英国ブリックスワースに位置するメルセデスAMG-HPPの外観

ウィリアムズはアストンマーチン(旧フォース・インディア、レーシングポイント)と並び、現行のV6ハイブリッド・ターボが導入された2014年から一貫して英国ブリックスワースのメルセデスAMG-HPP製PUを使用してきたが、契約を更新するかどうかは不透明だ。

F1公式サイトによると、ヨースト・カピートの後任として今年2月にチーム代表としてウィリアムズに加わった元メルセデスの戦略主任、ジェームズ・ヴァウルズは次のように述べ、メルセデスとの関係に満足しているとする一方、新時代の到来に向けて関係を終わらせる可能性がある事を認めた。

「何年にも渡って築かれてきた今の関係に我々は満足している。基本的にメルセデスは過去15年間に渡って、概ねベストなパワーユニットを生産してきた」

「その上で我々は現時点で、メルセデスや他のメーカーを含めて必要に応じて再検討している。マーケットの状況を確認し、関係のあり方について早々に決定を下す必要がある」

ヴァウルズはまた、他のライバルを含めて2024年以降にサプライヤーを切り替える決定を下すチームは殆どないだろうとして、今シーズン中に決断する見通しを示した。

ガレージからコースに向かうウィリアムズFW45、2023年3月3日F1バーレーンGPCourtesy Of Williams

ガレージからコースに向かうウィリアムズFW45、2023年3月3日F1バーレーンGP

同じメルセデスを搭載するマクラーレンは2026年以降の供給を巡りレッドブルとの間で話し合いの場を持った事を明らかにしているが、同時にホンダにもアプローチしたものと考えられている。

与えられたエンジンを使うだけの存在であるカスタマチームに甘んじている限り、タイトルを狙う事は難しい。その点で供給先未定のホンダは唯一の魅力的なサプライヤーだ。

1980年代後半のF1を席巻したウィリアムズ・ホンダ復活の可能性はあるのだろうか?

ヴァウルズは「OEMというものはメーカーの支援に頼らなければならない。我々はそういった状況で戦わなければならない困難な道を歩いている」と述べ、ワークスチームに優位性がある事を認めた。

ただ、それと同時に「今の我々の肩には現実的な目標がかかっている」とも述べた。

ウィリアムズは先日の開幕バーレーンGPでアレックス・アルボンが逆転入賞、ローガン・サージェントが新人最上位となる12位でフィニッシュし、2023年シーズンを好調にスタートさせた。

だが2018年以降、コンストラクターズタイトル9度を誇るかつての名門はランキング7位以上を収めた事がなく、チャンピオンシップ争いなど夢のまた夢という状況だ。

更には、昨年末までテクニカル・ディレクターを務めていた”FX”ことフランソワ=グザビエ・ドゥメゾンと、空力部門の責任者を務めていたデビッド・ウィーターが去った事による技術系上級職2名の穴は今も空いたままで、ウィリアムズには2026年以降のPU以上に喫緊の課題が幾つもある。

ウィリアムズのローガン・サージェントと話し合うアレックス・アルボン、2023年3月3日F1バーレーンGPCourtesy Of Williams

ウィリアムズのローガン・サージェントと話し合うアレックス・アルボン、2023年3月3日F1バーレーンGP