ザントフォールト・サーキットに揺らめく国際自動車連盟(FIA)の旗、2022年9月1日F1オランダGP
Courtesy Of Alfa Romeo Racing

F1を統括するFIA、幹部3名が相次ぎ離職…組織への不満が原因か

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F1を統括する国際自動車連盟(FIA)は2024年1月8日(月)、スポーティングディレクターのスティーブ・ニールセン及びテクニカルディレクターのティム・ゴスの両名が就任1年を待たずに離職する事を明らかにした。

フランス国内の未確認報道によると、先月にはFIA女性委員会のデボラ・メイヤー委員長が辞任したばかりだ。

わずか1ヶ月足らずで3名の幹部を失うことはFIAにとって決して好ましいことではない。英「BBC Sport」によるとFIAの幹部の一人は「酷い状態」に陥っていると語った。

またFIAに近い関係者らによるとゴスとニールセンの両名は、2026年に導入予定の新たなF1技術レギュレーションの策定プロセス並びに組織運営のあり方に不満を抱いていたという。

F1では2年後の2026年に電動比率を50%にまで引き上げた次世代パワーユニットと新しい車体規定が導入される。

30年の経験を持ち、パドックで高く評価されてきたニールセンは1年前にスポーティングディレクターとしてFIAに加わった。離職に際して「この1年は私にとって素晴らしい経験になった」と語ったが、自らが推し進めるプロジェクトに組織が消極的であった事が辞任の理由と見られている。

FIAは声明の中で、1月末に退任するニールセンの後任としてティム・マリヨンがシングルシーター部門のスポーティングディレクターに就任し、レースディレクションやジュネーブに拠点を置く遠隔操作センター(ROC)を監督すると発表した。

またゴスの離職を合わせて発表したが、後任は明らかにしなかった。長きに渡ってマクラーレンでキャリアを歩んできたゴスはチームの一員としてF1の現場に復帰するものとみられている。

ゴスについてシングルシーター部門のディレクターを務めるニコラス・トンバジスは「ティムほどの才能を持った人材を失うことは残念だ」「彼は今後、新しい方向に向かってキャリアを歩んでいくだろう。別の道を追求したいという彼の願いを尊重したい。幸運を祈っている」と語った。

カナダ出身のマリヨンはレッドブル・レーシングとザウバーでの職務を経て、2019年に研究責任者としてFIAに加入。2021年にセーフティーディレクターに任命されると、2022年5月からはROCのプロジェクトリーダーを担ってきた。

11チームへのグリッド拡大を含む様々な問題で対立するなど、リバティ・メディア傘下のF1とモハメド・ベン・スレイエム会長率いるFIAの関係はここ1年で悪化している。