2025年シーズンのF1公式タイムキーパー復帰を告げるタグ・ホイヤーのグラフィック、2025年1月6日
Courtesy Of TAG Heuer

タグ・ホイヤー、2025年にF1復帰―計時の枠を超えた深い絆

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F1世界選手権創設75周年を迎える2025年シーズンに向けて、1860年創業のスイスの高級時計ブランド「タグ・ホイヤー」がF1の公式タイムキーパーとして復帰することが1月6日に発表された。

これはタグ・ホイヤーの親会社であるLVMHとF1との10年契約の一環として発表されたもので、タグ・ホイヤーはロレックスに代わり、サーキットでの計時業務に加え、ファンイベントや新商品の発表を通じてF1の魅力をさらに向上させる役割を果たす予定だ。

(左上)ジャック・ホイヤー、(左下)ジャック・ホイヤーとF1ドライバーのクレイ・レガツォーニとジョー・シフェール。(右下)ラリー マスター、(右上)1962年発行のカタログの表紙Courtesy Of TAG Heuer

(左上)ジャック・ホイヤー、(左下)ジャック・ホイヤーとF1ドライバーのクレイ・レガツォーニとジョー・シフェール。(右下)ラリー マスター、(右上)1962年発行のカタログの表紙

タグ・ホイヤーとF1の関係は深い。1969年、ホイヤー(現タグ・ホイヤー)は高級時計ブランドとして初めてF1マシン(ロブ・ウォーカーチームのロータス49B)にロゴを掲示。その後もチームスポンサーとして活動し、数々のドライバーズおよびコンストラクターズチャンピオンシップに寄与してきた。

1971年にはスクーデリア・フェラーリの公式計時システムを開発し、1970年代から1980年代にかけてはアラン・プロストやアイルトン・セナといった伝説的ドライバーとのコラボレーションを通じて、ブランドの地位をさらに確立していった。

ロータスから1970年シーズンに参戦し、第10戦イタリアGPでの悲劇的な事故でこの世を去った後にF1ワールドチャンピオンに輝いたヨッヘン・リントは、そのレーシングキャリアを通して「ホイヤー オータヴィア」(Ref. 2446)を着用し続けた。

F1ドライバーとして初めてタグ・ホイヤーと契約を結んだジョー・シフェールCourtesy Of TAG Heuer

F1ドライバーとして初めてタグ・ホイヤーと契約を結んだジョー・シフェール

タグ・ホイヤーを着用するアイルトン・セナCourtesy Of TAG Heuer

タグ・ホイヤーを着用するアイルトン・セナ

1985年にはマクラーレンF1チームのオーナーであるテクニーク・ダバンギャルド(TAG) グループの傘下に入り、社名を現在の「タグ・ホイヤー」に変更。1992年以降はF1の公式タイムキーパーとしての役割を担い、計時技術の精度と信頼性を一層向上させた。

2015年にマクラーレンとの30年間に及ぶ協力関係に終止符を打つと、2016年にはレッドブルとの提携を開始。以降もモータースポーツ界で存在感を示してきた。

スクーデリア・フェラーリのテストコースであるフィオラノのためにタグ・ホイヤーが設計した計時システム「ル・マン・センチグラフ」Courtesy Of TAG Heuer

スクーデリア・フェラーリのテストコースであるフィオラノのためにタグ・ホイヤーが設計した計時システム「ル・マン・センチグラフ」

タグ・ホイヤーのCEOジャック・ホイヤー(左)Courtesy Of TAG Heuer

タグ・ホイヤーのCEOジャック・ホイヤー(左)

近年、F1は世界的な人気を再び拡大している。2024年シーズンの視聴者数は15億人を超え、観客層の多様化も顕著だ。視聴者のうち42%が女性であり、35歳以下の若年層が全体の約3分の1を占めている。SNSの影響力も高まり、F1の公式アカウントは約9,000万人のフォロワーを抱え、スポーツの枠を超えた文化的なイベントとしての地位を確立している。

今回の復帰について、タグ・ホイヤーのアントワーヌ・パンCEOは「F1という歴史を共有する舞台で、引き続き『時間』によって勝敗を決する役割を担うことは非常に特別な意味を持つ」と述べ、このパートナーシップが両者に新たな価値をもたらすと強調した。

また、F1のステファノ・ドメニカリ会長兼CEOは、「タグ・ホイヤーは何十年にもわたるF1の代名詞的存在であり、公式タイムキーパーとして理想的なパートナーだ」と述べ、同ブランドとの再連携に期待を寄せた。