FIA、レッドブル・ホンダの再審査請求を却下!4つの新証拠全てが認められず。謎の”懸念”も
レッドブル・ホンダが裁定の見直しを求めて再審査を請求した件について、F1イギリスGPのスチュワードは提出された証拠を認めず却下した。これによりルイス・ハミルトンへの10秒ペナルティが確定した。
マックス・フェルスタッペンが病院送りとなったシルバーストンでの1周目の事故についてスチュワードは事故直後、ハミルトンに「主たる過失」があったと判断し、10秒ペナルティと2点のペナルティポイントを科す裁定を下した。
優勝のチャンスと大量のポイント、日本円にして2億円近い損害を被ったレッドブル・ホンダの首脳陣はハミルトンのドライビングに激怒すると共に、罰則内容は「余りに寛大」であるとして先週金曜、国際自動車連盟(FIA)に対して再審査請求を提出した。
これを受けてイギリスGPのスチュワードは、第11戦ハンガリーGPを前にした29日(木)にメルセデスおよびレッドブル双方の代表者をビデオ会議に招集。提出された新たな証拠の検証を行った。
メルセデス側からはロン・メドウズ(スポーティング・ディレクター)、アンドリュー・ショブリン(トラックサイド・エンジニアリング・ディレクター)、ジェームズ・ヴァウルズ(ストラテジー・ディレクター)が、そしてレッドブル・ホンダからはクリスチャン・ホーナー(チーム代表)、ベン・ウォーターハウス(パフォーマンス・エンジニアリングの責任者)、ジョナサン・ウィートリー(スポーティング・ディレクター)の計6名がビデオ会議に参加した。
FIAによると提出された以下の証拠は全てチームが作成したスライドで、4つ目の証拠はレッドブル・ホンダが先週木曜日にシルバーストンで行ったアレックス・アルボンとのフィルミングデーの際に集めたデータを基にしたものだった。
- 事故発生時のターン9での2台のGPSデータを元にした資料
- 50周目にルクレールを追い抜いた際にハミルトンが取ったラインとの比較分析
- 事故のラップシミュレーション
- アルボンが再現したハミルトンの走行ラインに関する資料
スチュワードはこれらの証拠について、重要でもなく関連性があるものでもなく、一部は「発見」されたものではなく再審査請求を目的とした新たに「作成」されたものである等として、再審請求について定めたFIA国際スポーティング・コード第14条の要件を満たしていないと判断。請求を却下した。
14条1項1は「当該決定の時点において、審査を求める当事者が入手できなかった重要かつ関連性のある新たな証拠が発見された場合」にのみ再審請求を認めている。
なおスチュワードは詳細に説明する事を避けながらも、レッドブル・ホンダが再審査嘆願書において主張したと思われる内容に対して懸念を示した。
現時点ではこれ以上の情報がなく詳細は不明だが、スチュワードは審査請求が認められた場合「そうした主張はスチュワードに関連する場合と関連しない場合があり得る。スチュワードはその後の決定において、こうした申し立てに直接対処した可能性があるが、請求は却下されたため、これらへのコメントは行わない」とのみ説明した。
いずれにせよ、これによってハミルトンに対する10秒ペナルティ及びイギリスGPでの勝利が確定した。8度目のタイトルを目指す36歳のイギリス人ドライバーは、ポイントリーダーのフェルスタッペンに僅か8ポイント差でハンガロリンクでのレースに臨む事になる。