Mercedes-Benz 300 SLRに乗るスターリング・モス、2015年
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訃報:無冠の帝王スターリング・モス、90歳で死去…ファンジオと共にF1創成期を牽引

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イギリス出身の偉大なるレーシングドライバー、スターリング・モス卿が4月12日(日)未明に90歳でこの世を去った。復活祭の朝の事だった。

長い闘病生活を通してメイフェアの自宅で看病を続けてきたモス夫人はDaily Mailに対して「彼はただ最後に疲れ果てて、その美しい瞳を閉じたのです」と語った。

スターリング・モスは1950年代にF1世界選手権で活躍。ファン・マヌエル・ファンジオのチームメイトとしてメルセデスを駆り、1956年から58年にかけて3年連続でファンジオに次ぐドライバーズランキング2位につけた。

不運もあり世界選手権を制する事はなかったが、スターリング・モスは1951年から1961年までの間に66回のグランプリに参戦し、メルセデスの他にヴァンウォールやマセラティのドライバーを務めた。

1960年代にはスポーツカーレースでも活躍し、その卓越したドライビングスタイルとテクニック故に、史上最高のオールラウンドレーサーとしての名声を確立した。スターリング・モスはキャリアを通して様々な種類のマシンを駆り529レースに参戦。そのうちの212レースで勝利を収めた。

その中でも1955年のミッレミリアでの優勝は伝説として語り継がれている。

スターリング・モスとデニス・ジェンキンソンがドライブしたメルセデス・ベンツ300SLRレーシングスポーツカー(W196 S)、1955年5月1日ミッレミリアにて
© Daimler AG / メルセデス・ベンツ300SLRレーシングスポーツカーに乗るスターリング・モス、1955年ミッレミリア

1927年から1957年まで開催されたイタリアの公道レース「ミッレミリア」は、非常に過酷な耐久レースとして名を馳せていた。スターリング・モスとファン・マヌエル・ファンジオは1955年に「メルセデス300SLR」を駆り、トータル1,000マイルのレースを制して見事1−2フィニッシュを飾った。

頭部を負傷した1962年のグッドウッドでの大事故の後、全盛期の32歳にして現役引退を決意。その後、何度か一時的にレースに復帰した。2016年には胸部感染症に侵され一時重篤に。2018年1月に公の場から引退した。