ペレス、悲願の初PP!衝撃のハミルトンQ1敗退とシューマッハ大事故を経て / F1サウジアラビアGP《予選》結果とダイジェスト
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2022年F1第2戦サウジアラビアGPの公式予選が現地3月26日にジェッダ市街地コースで行われ、レッドブル・レーシングのセルジオ・ペレスが251戦目にしてキャリア初のポールポジションを獲得した。
ペレスは「なんてラップだ、信じられない。例え1000周挑戦しても、あれには勝てないと思う。信じられないようなラップだった」と喜びをあらわにした。特に予選ではなく決勝に照準を合わせていただけに尚更のようだ。
ペレスは「予選でフェラーリに対抗できるとは思っていなかったから、僕らは決勝に集中していたんだ」と明かした。日曜のレースでのRB18に更なる期待が寄せられる。
週末の全プラクティスを制して予選に臨んだシャルル・ルクレールは1000分の25秒及ばず2番手に甘んじた。3番手にはカルロス・サインツが続き、フェラーリが2-3グリッドに並んだ。
マックス・フェルスタッペンはQ3での1回目の計測ラップでグリップ不足に苦しみ、コンマ8秒遅れの暫定6番手と大きく出遅れた。その結果、最終アタックで攻めきれず、サインツに1000分の59秒届かず4番手に留まった。
速さはありながらも、駆動系やバッテリーの不具合により浮き沈み激しいシーズンを送るアルファタウリはピエール・ガスリーが9番手を獲得。全てのプラクティスでトップ10を刻み、Q3進出が期待された角田裕毅は、Q1でメカニカルトラブルに見舞われ走行叶わず予選を終えた。チームによると燃料関連のトラブルが発生したという。
史上最速の市街地コースと銘打たれたジェッダ市街地コースではアルピーヌがミッドフィールドを制した。エステバン・オコンは5番手、フェルナンド・アロンソも7番手を刻み、ダブルQ3進出を果たした。
ポーパシングに苦戦するメルセデスは厳しい結果に終わった。ジョージ・ラッセルは6番手と健闘したものの、ルイス・ハミルトンは16番手でQ1敗退を喫した。2017年ブラジルGP以来、5年ぶりのノックアウトとなった。ただしこの際はクラッシュに依るもので、純粋なペースで脱落したのは2009年のF1イギリスGP以来、初めての事だった。セットアップを見誤りマシンバランスに苦戦したと説明した。
アルファロメオとハースはバーレーンからの勢いそのままに各々1台をQ3に送り込んだ。バルテリ・ボッタスはまたも最終ラウンドに駒を進めて8番手タイムをマーク。ジェッダ初走行ながらも油圧トラブルにより思うように走り込めなかったケビン・マグヌッセンは10番手を刻み、ベテランとしての底力を見せつけた 。
FP3に引き続き現地ジェッダは晴れ、決勝のスタートグリッドを決する争いは気温23.8℃、路面25.8℃、湿度55%、気圧1013.9hPaのドライコンディションでスタート。公式タイヤサプライヤーのピレリはハード(白色)にC2、ミディアム(黄色)にC3、ソフト(赤色)にC4コンパウンドを投入した。
計1時間のスケジュールが予定されていた予選はニコラス・ラティフィ(ウィリアムズ)とミック・シューマッハ(ハース)の赤旗クラッシュの影響で2時間超に伸びた。
予選Q1:ハミルトンが13年ぶりの敗退
ラティフィがターン13へのアプローチでリアを失い高速のまま壁に激突。早々に赤旗が振られた。幸いにも深刻な怪我はなく、メディカルカーに乗りピットビルに戻っていった。
ルクレールは第1・2セクターで全体ベストを刻みながらも、フィニッシュラインを目前に旗が振られたため計測を断念。同じ様にアタック中であったサインツ共々、新品タイヤのアドバンテージを失った。
🚩 RED FLAG 🚩
Nicholas Latifi slides into the barrier at Turn 13
Driver is OK #SaudiArabianGP #F1 pic.twitter.com/Dky14NVYWX
— Formula 1 (@F1) March 26, 2022
メルセデス勢は1セット目に唯一、ミディアムを装着。2セット目にソフトを履き、ラッセルは4番手タイムを記録したが、ハミルトンは最終アタックを前に16番手とノックアウト・ゾーンに沈み「これ以上タイムを縮められる気がしない」と弱音を吐いた。
1周のクールダウンラップを経て最後の計測に向かったハミルトンは15番手に浮上するも、ランス・ストロール(アストンマーチン)に蹴落とされ16番手でクルマを降りた。
セッション再開直後には角田裕毅に「トラブルだ。ピットインしてくれ」との無線が飛んだ。走行叶わずノータイムで予選を終えた。
ダニエル・リカルド(マクラーレン)とケビン・マグヌッセン(ハース)はアンセーフリリースの疑いがあるとして審議の対象となった。
Pos | Driver | Team | Time | Gap | Laps |
---|---|---|---|---|---|
1 | サインツ | フェラーリ | 1:28.855 | + 0.000 | 6 |
2 | フェルスタッペン | レッドブル | 1:28.928 | + 0.073 | 7 |
3 | ルクレール | フェラーリ | 1:29.039 | + 0.184 | 6 |
4 | ラッセル | メルセデス | 1:29.680 | + 0.825 | 9 |
5 | ボッタス | アルファロメオ | 1:29.683 | + 0.828 | 7 |
6 | ペレス | レッドブル | 1:29.705 | + 0.850 | 7 |
7 | マグヌッセン | ハース | 1:29.831 | + 0.976 | 9 |
8 | ガスリー | アルファタウリ | 1:29.891 | + 1.036 | 7 |
9 | ノリス | マクラーレン | 1:29.957 | + 1.102 | 9 |
10 | 周冠宇 | アルファロメオ | 1:29.978 | + 1.123 | 11 |
11 | アロンソ | アルピーヌ | 1:29.978 | + 1.123 | 7 |
12 | リカルド | マクラーレン | 1:30.009 | + 1.154 | 9 |
13 | オコン | アルピーヌ | 1:30.093 | + 1.238 | 7 |
14 | シューマッハ | ハース | 1:30.167 | + 1.312 | 8 |
15 | ストロール | アストンマーチン | 1:30.256 | + 1.401 | 9 |
16 | ハミルトン | メルセデス | 1:30.343 | + 1.488 | 11 |
17 | アルボン | ウィリアムズ | 1:30.492 | + 1.637 | 9 |
18 | ヒュルケンベルグ | アストンマーチン | 1:30.543 | + 1.688 | 10 |
19 | ラティフィ | ウィリアムズ | 1:31.817 | + 2.962 | 4 |
予選Q2:シューマッハが高速大事故
5台が脱落し残る15台のマシンが挑んだQ2では、計測ラップ中のシューマッハがターン12でクラッシュ。2度目の赤旗が振られ、時計の針は4分58秒で止められた。
高速切り返し区間で縁石に乗り上げたハースVF-22はコンクリート製のイン側ウォールに対してほぼ真正面から激突した。コントロールを失った場所から壁までは減速のための距離が全くなかった。
国際映像が事故現場を映さなかった事から容態が心配されたが、意識があるとの朗報に続き、シューマッハは救急車に乗せられメディカルセンターへと運ばれていった。チームによると身体的には問題ないとの事で、更なる検査を行うためにヘリで地元病院へと搬送された。
クレーンにより持ち上げられたマシンからはエンジンを含むリアエンドが脱落。全損レベルのダメージを負った事が明らかとなった。
今回がF1レースディレクターとしての初仕事となったニールス・ウィティヒは、デブリ回収と壁の修復を経て、路面に流出したオイルの洗浄除去を指示。セッションは1時間弱の中断を経てようやく再開された。
ガスリーはフロアを損傷。ガレージ内で修復作業に取り組むメカニックの姿があったが、7番手で突破。ラッセルは1000分の33秒差で10番手ギリギリのQ3進出を掴んだ。
マクラーレン勢はランド・ノリスが11番手でノックアウト。12番手に終わったダニエル・リカルドはオコンの走行を妨害したとして、審議の対象となった。
Pos | Driver | Team | Time | Gap | Laps |
---|---|---|---|---|---|
1 | ルクレール | フェラーリ | 1:28.883 | 13 | |
2 | ペレス | レッドブル | 1:28.924 | + 0.041 | 12 |
3 | フェルスタッペン | レッドブル | 1:28.945 | + 0.062 | 13 |
4 | サインツ | フェラーリ | 1:29.039 | + 0.156 | 14 |
5 | アロンソ | アルピーヌ | 1:29.428 | + 0.545 | 13 |
6 | ボッタス | アルファロメオ | 1:29.523 | + 0.640 | 14 |
7 | ラッセル | メルセデス | 1:29.618 | + 0.735 | 15 |
8 | ノリス | マクラーレン | 1:29.651 | + 0.768 | 16 |
9 | シューマッハ | ハース | 1:29.920 | + 1.037 | 13 |
10 | ガスリー | アルファタウリ | 1:29.989 | + 1.106 | 13 |
11 | 周冠宇 | アルファロメオ | 1:30.035 | + 1.152 | 15 |
12 | リカルド | マクラーレン | 1:30.073 | + 1.190 | 15 |
13 | マグヌッセン | ハース | 1:30.206 | + 1.323 | 17 |
14 | ストロール | アストンマーチン | 1:31.027 | + 2.144 | 14 |
15 | オコン | アルピーヌ | 1:39.377 | + 10.494 | 13 |
予選Q3:ペレス、渾身の初ポール
トップ10グリッドを決する予選最終ラウンドのQ3では、1セット目の計測を終えてサインツが1000分の44秒差でルクレールを交わして暫定ポールに。ペレスが3番手に続いた。
フェルスタッペンはターン1・2でリアを滑らせ大きくタイムをロス。コンマ8秒遅れの6番手と大きく出遅れ、タイヤのグリップ不足を訴えた。
最終アタックでサインツは自己ベストを更新できず、ルクレールがトップに浮上。これで決まりかと思われたが、ペレスが驚異のラップで初ポールをもぎ取った。
2022年 F1サウジアラビアグランプリ決勝レースは、日本時間3月27日(日)26時にスタート。1周6175mのジェッダ市街地コースを50周する事でチャンピオンシップを争う。
2022年F1第2戦サウジアラビアGP予選リザルト
Pos | No | Driver | Team | Q1 | Q2 | Q3 | Laps |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | 11 | ペレス | レッドブル | 1:29.705 | 1:28.924 | 1:28.200 | 20 |
2 | 16 | ルクレール | フェラーリ | 1:29.039 | 1:28.780 | 1:28.225 | 22 |
3 | 55 | サインツ | フェラーリ | 1:28.855 | 1:28.686 | 1:28.402 | 23 |
4 | 1 | フェルスタッペン | レッドブル | 1:28.928 | 1:28.945 | 1:28.461 | 22 |
5 | 31 | オコン | アルピーヌ | 1:30.093 | 1:29.584 | 1:29.068 | 19 |
6 | 63 | ラッセル | メルセデス | 1:29.680 | 1:29.618 | 1:29.104 | 21 |
7 | 14 | アロンソ | アルピーヌ | 1:29.978 | 1:29.295 | 1:29.147 | 20 |
8 | 77 | ボッタス | アルファロメオ | 1:29.683 | 1:29.404 | 1:29.183 | 22 |
9 | 10 | ガスリー | アルファタウリ | 1:29.891 | 1:29.418 | 1:29.254 | 22 |
10 | 20 | マグヌッセン | ハース | 1:29.831 | 1:29.546 | 1:29.588 | 24 |
11 | 4 | ノリス | マクラーレン | 1:29.957 | 1:29.651 | 16 | |
12 | 3 | リカルド | マクラーレン | 1:30.009 | 1:29.773 | 17 | |
13 | 24 | 周冠宇 | アルファロメオ | 1:29.978 | 1:29.819 | 17 | |
14 | 47 | シューマッハ | ハース | 1:30.167 | 1:29.920 | 13 | |
15 | 18 | ストロール | アストンマーチン | 1:30.256 | 1:31.009 | 15 | |
16 | 44 | ハミルトン | メルセデス | 1:30.343 | 11 | ||
17 | 23 | アルボン | ウィリアムズ | 1:30.492 | 9 | ||
18 | 27 | ヒュルケンベルグ | アストンマーチン | 1:30.543 | 10 | ||
19 | 6 | ラティフィ | ウィリアムズ | 1:31.817 | 4 | ||
RT | 22 | 角田裕毅 | アルファタウリ | 2 |
コンディション
天気 | 晴れ |
---|---|
気温 | 23.8℃ |
路面温度 | 25.8℃ |
セッション概要
グランプリ名 | F1サウジアラビアGP |
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セッション種別 | 予選 |
セッション開始日時 |
サーキット
名称 | ジェッダ市街地コース |
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設立 | 2021年 |
全長 | 6175m |
コーナー数 | 27 |
周回方向 | 反時計回り |