6台消える大波乱、フェルスタッペン完勝!角田は連続入賞。劇的決着の3位表彰台 / F1サンパウロGP《決勝》結果とダイジェスト

レッドフラッグ後のリスタートで先頭を走るマックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)、2023年11月5日(日) F1ブラジルGP決勝レース(インテルラゴス・サーキット)Courtesy Of Red Bull Content Pool

2023年FIA-F1世界選手権第21戦サンパウロGP決勝レースが11月5日(日)にインテルラゴス・サーキットで行われ、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)がポール・トゥ・ウインを飾り、年間最多優勝記録を17に更新した。角田裕毅(アルファタウリ)は9位入賞を果たした。

6番グリッドに着いたランド・ノリス(マクラーレン)は唯一、フェルスタッペンを追走する速さを見せたが、8周目のターン1と4を除けば脅威となるには及ばず、8.277秒遅れの2位でフィニッシュした。後続に対しては26秒もの大差をつけた。

Courtesy Of Red Bull Content Pool

パルクフェルメにクルマを止めた勝者マックス・フェルスタッペン(レッドブル)と2位ランド・ノリス(マクラーレン)、2023年11月5日(日) F1ブラジルGP決勝レース(インテルラゴス・サーキット)

4番手からスタートしたフェルナンド・アロンソ(アストンマーチン)は終盤に壮絶な表彰台争いを繰り広げ、最終ラップのターン4でセルジオ・ペレス(レッドブル)を交わすと、0.053秒という紙一重の差でこれを振り切り、2戦連続リタイヤからの7戦ぶりの3位表彰台に上がった。

期待にそぐわなかったアップグレードに拘る事を止め、使い慣れた仕様に戻した事でアストンは以前の競争力を取り戻した。予選3番手のランス・ストロールは表彰台争いには絡めなかったものの、それでも5位でフィニッシュし、4月のオーストラリア以来となる高得点を持ち帰った。

今年のブラジルも衝撃的に荒れた。フォーメーションラップで2番グリッドのシャルル・ルクレール(フェラーリ)が技術的なトラブルによりクラッシュを喫して姿を消すと、1周目には多重事故により2台がリタイヤを強いられ、その後も3台が相次いでクルマをガレージに入れた。

フェラーリの期待を一手に背負ったカルロス・サインツはポジションを一つ上げて6位に続いたが、スプリントに続いてリアタイヤの極端なデグラデーションに苦しんだメルセデスはさておき、アストンには全く及ばなかった。

ピエール・ガスリーは1周目の混乱を潜り抜け、メルセデス勢をコース上でオーバーテイクし、15番グリッドからの大逆転7位入賞を飾った。エステバン・オコンが10位に滑り込んだ事でアルピーヌはダブルポイントを獲得した。

15番グリッドに着いた角田裕毅は1周目にポイント圏内10番手に浮上する大ジャンプを決めるも、コース外にタイヤを落とすミスを犯してガスリーとバルテリ・ボッタス(アルファロメオ)に先行を許した。ただ、ソフトでの第1スティントでは終盤に向けてアルピーヌやフェラーリを上回るペースを発揮。ロスを埋め合わせていった。

そして9番手を走行していたジョージ・ラッセル(メルセデス)がオーバーヒートにより58周目にクルマをガレージに入れリタイアしたことで9番手に浮上。クラッチに信頼性懸念が発生したため、終盤はパフォーマンス低下を強いられたが、それでも前日のスプリントに続いて2点を加えた。

ただ、印象的とは言い難いミディアムでの第2スティントを引っ張り続けた点には疑問も残る。最終スティントに向け、ペースとデグラデーションの両面でライバルにアドバンテージを持っていたソフトにいち早く履き替え、アンダーカットで前に出ていれば、デグの低さを活かして7位争いが期待できた可能性もありそうだ。

保守的とも思われるアプローチを取ったのはチームメイトの影響もあるかもしれない。ダニエル・リカルドは1周目の事故に巻き込まれ、赤旗の最中にガレージに入ってリアウィングを交換したため、1周遅れの最下位でリスタートに臨む事となった。ポイント獲得は角田裕毅の肩にかかっていた。

Courtesy Of Red Bull Content Pool

ドライバーズパレードで観客に手を振る角田裕毅(スクーデリア・アルファタウリ)、2023年11月5日(日) F1ブラジルGP(インテルラゴス・サーキット)

レース概要

決勝は日本時間5日(日)26時にブラックアウトを迎え、1周4,309mのコースを71周する事で争われた。現地サンパウロは晴れ、チャンピオンシップポイントを争うレースのフォーメーションラップは気温21℃、路面47℃と、スプリント時よりも涼しいドライコンディションで開始された。ただ路面は徐々に熱くなっていき、50℃を超える場面もあった。

公式タイヤサプライヤーのピレリは2番目に柔らかいレンジのC2からC4までのコンパウンドを投入。19番手のローガン・サージェント(ウィリアムズ)のみミディアムタイヤを、その他はソフトを履いてグリッドに着いた。

フォーメーションラップでは、後輪ロックに見舞われたルクレールがターン7でクラッシュ。左フロントにダメージを負った。無線では油圧を失ったと報告したが、後に詳細な説明は拒否しつつも「油圧のトラブルではない」と説明した。

レースは最前列2番グリッドを欠いた状態でスタートしたが、すぐさま赤旗が振られる展開となった。

蹴り出しが遅かった2列目独占のアストンが後退した事を除けば先頭集団はクリーンにターン1を抜けたものの、後方でアレックス・アルボン(ウィリアムズ)がニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)と接触し、その後、もう1台のハースを駆るケビン・マグヌッセンとも接触した。

オスカー・ピアストリ(マクラーレン)はマグヌッセンにリアを叩かれ、リカルドは飛んできたタイヤでリアウィングを破損した。2台は赤旗を経てガレージに戻り、修復に取り組んだ。レースコントロールは1ラップダウンのピットレーンスタートを命じた。

コース上には大量のデブリが飛散。バリアの修復が必要となり、レース中断は25分に及んだ。角田裕毅は10番手からリスタートに臨んだ。ピアストリのみミディアムに履き替え、他はソフトを履いた。

リスタートは大きな混乱なく全車がクリーンにターン1を駆け抜けた。アロンソはハミルトンを交わして3番手に浮上した。角田裕毅はオコンを追い詰め、追い抜きを試みたものの、ターン13の出口でリアをコース外に落としてトラクションを失い、ガスリーにポジションを奪われた。

前日のスプリントを再現するかのように、4番手ハミルトンはペースが上がらずフィールドの頭を塞いだ。その背後を走るラッセルはピットウォールに対応を求めたが返答はなく、14周目にペレスにオーバーテイクを許した。ペレスは18周目にハミルトンを攻略した。

ハミルトンは上位勢の中で最も早い19周目にタイヤ交換を実施。翌周にはラッセルもミディアムタイヤに履き替えた。その翌周にはアンダーカットを防ぐべくペレスもビットストップを行ったが、一歩及ばずポジションを奪われた。ただこの日のメルセデスにレッドブルを退ける力はなく、ペレスはすぐにこれを取り戻した。

角田裕毅は13周目にオコンを交わして10番手にポジションを上げたが、コース外に飛び出してタイヤを芝生に落とすミスを犯した事でボッタスに先行を許した。ただ25周を超えてなお、印象的なペースを刻んだ。ミディアムに履き替えたばかりのハミルトンと遜色ないペースだった。

23周目、周冠宇がガレージにクルマを入れリタイヤすると、40周目にはチームメートのボッタスがこれに続いた。アルファロメオは2台共がレースを完走できなかった。

角田裕毅は27周目にサインツ、ガスリーと共に最初のピットストップを行いミディアムに履き替えた。サインツがファストレーンに出る際、角田裕毅とニアミスするシーンがあった。トップ2は27周目にタイヤ交換を行い、ポジションそのままにコースに戻った。

ピットストップで幾らかタイムを失った事で角田裕毅はガスリーとのギャップが広がる事となったが、サージェントとボッタスを立て続けに交わして表彰台圏内10番手にポジションを戻した。

46・47周目に前方を走るメルセデス勢とガスリーが最後のピットストップを行ったものの、アルファタウリはこれに追従せず、55周目まで角田裕毅をステイアウトさせた。この間に失ったタイムは少なくなかった。

アロンソは最終スティントで見事な走りを見せた。ERSのデプロイメントを巧みに利用することで、レッドブルRB19が持つ優れた空力効率とストレートラインスピードを相殺。最終2ラップ目のターン1で一旦、ペレスに前を許したものの、ファイナルラップのターン4で奪還し、ターン13からの息詰まるドラッグレースをコンマ1秒未満の差で制した。

2023年F1第21戦サンパウロGP決勝リザルト

Pos No Driver Team Laps Time PTS
1 1 マックス・フェルスタッペン レッドブル・ホンダRBPT 71 1:56:48.894 25
2 4 ランド・ノリス マクラーレン・メルセデス 71 +8.277s 19
3 14 フェルナンド・アロンソ アストンマーチン・メルセデス 71 +34.155s 15
4 11 セルジオ・ペレス レッドブル・ホンダRBPT 71 +34.208s 12
5 18 ランス・ストロール アストンマーチン・メルセデス 71 +40.845s 10
6 55 カルロス・サインツ フェラーリ 71 +50.188s 8
7 10 ピエール・ガスリー アルピーヌ・ルノー 71 +56.093s 6
8 44 ルイス・ハミルトン メルセデス 71 +62.859s 4
9 22 角田裕毅 アルファタウリ・ホンダRBPT 71 +69.880s 2
10 31 エステバン・オコン アルピーヌ・ルノー 70 +1 lap 1
11 2 ローガン・サージェント ウィリアムズ・メルセデス 70 +1 lap 0
12 27 ニコ・ヒュルケンベルグ ハース・フェラーリ 70 +1 lap 0
13 3 ダニエル・リカルド アルファタウリ・ホンダRBPT 70 +1 lap 0
14 81 オスカー・ピアストリ マクラーレン・メルセデス 69 +2 laps 0
NC 63 ジョージ・ラッセル メルセデス 57 DNF 0
NC 77 バルテリ・ボッタス アルファロメオ・フェラーリ 39 DNF 0
NC 24 周冠宇 アルファロメオ・フェラーリ 22 DNF 0
NC 20 ケビン・マグヌッセン ハース・フェラーリ 0 DNF 0
NC 23 アレックス・アルボン ウィリアムズ・メルセデス 0 DNF 0
NC 16 シャルル・ルクレール フェラーリ 0 DNS 0

コンディション

天気晴れ
気温21℃
路面温度47℃
周回数71

セッション概要

グランプリ名 F1サンパウロGP
レース種別 決勝
レース開始日時

サーキット

名称 インテルラゴス・サーキット
設立 1936年
全長 4309m
コーナー数 15
周回方向 反時計回り

F1サンパウロGP特集

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