
ターン3の「水の罠」を防げ―サンパウロGP主催者が講じた”力技の一手”、連続クラッシュを受け緊急対策
2025年F1第21戦サンパウロGPの主催者は決勝レースに向け、インテルラゴス・サーキットのターン3に設けられた縁石に対し、緊急の排水対策を実施した。縁石に溜まった水が原因と見られるクラッシュが、土曜日のスプリントで相次いで発生したためだ。
英専門メディア『The Race』によると、土曜夜に作業員がコンクリートカッターを使用して縁石に排水用の溝を刻み込んだという。日曜の決勝にかけてはさらなる雨が予想されており、再発防止を目的とした緊急措置とされる。
ノリスがきっかけ? 3台が連続クラッシュ
金曜夜の豪雨にもかかわらず、土曜日のスプリントはドライコンディションで始まったものの、メインストレートやコースの一部には水たまりが残る状況だった。
序盤は大きなトラブルなく進行したが、6周目に状況が一変する。レースをリードしていたランド・ノリス(マクラーレン)がターン3の縁石に乗り上げた瞬間、縁石の段差部分に溜まっていた水が跳ね上がり、その直後にクラッシュが相次いだのだ。
まずはチームメイトのオスカー・ピアストリが同じ縁石に乗ってスピンし、バリアに激突。続けてニコ・ヒュルケンベルグ(ザウバー)とフランコ・コラピント(アルピーヌ)も同じ場所で滑り、壁に突っ込んだ。
この一連のアクシデントによりレースは赤旗中断となり、バリアの修復と車両回収が行われた。
Piastri
Hulkenberg
ColapintoOne corner, three crashes 💥#F1Sprint #BrazilGP pic.twitter.com/do5x7mtk4N
— Formula 1 (@F1) November 8, 2025
問題を悪化させたターン2の溝
降雨後の縁石が滑りやすく危険であることは今回に限った話ではないが、ターン3の縁石はその設計上、水が溜まりやすい構造になっていた。
さらに、今大会に向けてターン2付近の路面に刻まれた排水の溝が状況を悪化させたようだ。報道によると、アスファルトに刻まれたこの溝を伝って雨水がターン3の段差付き縁石に流れ込み、結果として水が溜まりやすい状態を作り出していたという。
縁石の段差構造は一般的に、コース外への“はみ出し抑止”のために設計されている。だが、今回はその段差が水を閉じ込める“トラップ”として機能してしまった。
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インテルラゴス・サーキットのターン3イン側縁石に溜まった水溜まり、2025年11月8日F1サンパウロGPスプリント(インテルラゴス・サーキット)
コンクリートカッターで排水溝を切削
土曜夜、主催者は緊急対策に乗り出した。作業員がターン3の縁石に派遣され、コンクリートカッターを使って縁石に排水用の溝を刻んだ。
溝は、山型になっている縁石の内側部分と、平坦な外側部分とを、溝で切り離すような形で縁石全域に切り込まれた。この溝を伝って斜面側に水を流し、縁石背後の芝生エリアへと逃がす狙いがあるとされる。
報道では「異例の対策」と伝えられているが、同様の処理はターン4・5のアウト側縁石にも見られる。ここはターン3の縁石と同じ段差構造になっているのだが、週末前の時点ですでに溝が切り込まれているのが確認(以下の画像を参照)できる。
Courtesy Of McLaren
インテルラゴス・サーキットのターン4・5のアウト側縁石に刻まれた排水用の溝、2025年11月6日(木) F1サンパウロGPメディアデー(インテルラゴス・サーキット)
土曜夜から日曜にかけては再び雨が予想されている。ターン3での水溜まりが解消されれば、ドライバーたちはより安全にレースを戦えるはずだが、コンクリートカッターで急造した排水溝が、どこまで機能するかは未知数だ。
レッドブル勢が衝撃のダブルQ1敗退を喫する中、2025年F1サンパウロGP予選では、ランド・ノリス(マクラーレン)がポールポジションを獲得。2番手にアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)、3番手にシャルル・ルクレール(フェラーリ)が続く結果となった。
決勝レースは日本時間11月9日(日)26時にフォーメーションラップが開始され、1周4309mのインテルラゴス・サーキットを71周する事でチャンピオンシップを争う。レースの模様はDAZNとフジテレビNEXTで生配信・生中継される。
